悔し涙のダイビングから2カ月、専大松戸の左翼手はいま

山口史朗
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 涙にくれた敗戦から約2カ月がたつ。専大松戸(千葉)の吉岡道泰(3年)はたくましくなっていた。

 桐光学園(神奈川)との春季関東大会準決勝は、延長十回に入った。先頭で打席に入った吉岡は「次につなぐことだけを考えた」。

 中前へ打ち返して好機を作ると、1死一、三塁からのスクイズでサヨナラ勝ちの本塁へ頭から突っ込んだ。選抜後から任された主将として、「終盤勝負の試合に勝てたことが大きい」と興奮気味に喜んだ。

 「あのプレーがあったから、強くなれたと思えるようにやっています」と、吉岡は言った。

 3月25日、中京大中京(愛知)と戦った選抜大会1回戦。0―0で迎えた七回だった。2死二塁で左翼を守る吉岡の前に、ライナーが飛んできた。捕ればピンチ脱出。前進して果敢に飛び込んだ。

 が、届かなかった。打球はグラブの先ではね、そのままフェンスまで転がっていった。ランニング本塁打となり、2点を失った。

 勝負のプレーだった。持丸修一監督は試合後、「あれぐらいの気持ちでやってくれてよかった」とねぎらったが、本人は責任を背負い、泣いて悔しがった。

 今、吉岡は「あのプレーがほかの選手じゃなくて、自分でよかった」と言う。「自分が抱え込んで、チームとして成長できればいい」のだと。

 春の千葉県大会の途中から、打順も4番から2番に変わった。「つなぎ役ということも意識しながら、『攻撃的な2番』を期待されていると思う」と、持丸監督の意図を読む。

 好機を作った十回の打席はまさに、その通りの打撃だった。「4番のときもつなぎの意識がなかったわけではないけど、『自分で決めてやる』という気持ちも強かった」という。

 「チームとしても、これまでは後半に試合を決めることが出来なかった。七、八回で追いついてサヨナラ勝ちできたのは、自分たちの成長だと思う」。はきはきと話す表情は、まさに主将のそれだった。

 悔しさを力に――。そんな反発力を持つ吉岡だからこそ、持丸監督もあえて、選抜後に主将をまかせたのだろう。

 サヨナラのホームイン後、吉岡は一瞬、ふらついた。すぐに元気になったが、心配になって聞くと、「立ちくらみです。気持ちが高ぶりすぎちゃって」。熱いハートで、専大松戸を春夏連続の甲子園に導く。山口史朗