子を思い「普通に死ねない」親 映画監督が見てきた現実

足立優心
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 【神奈川】親が死んだ後、重い障害がある子どもらが直面する課題を描いた映画「普通に死ぬ~いのちの自立~」の上映が22日、横浜シネマリン(横浜市中区)で始まった。監督の貞末(さだすえ)麻哉子さんは「親も障害のある子も普通に生きて、死ねる社会になってほしい」と話す。

 作品は、2011年に公開された「普通に生きる」の続編。前作では重い障害がある子どもの親が地域社会で「普通に生きる」ため、通所施設を開設するまでの5年間を追った。今作ではそうした子どもを支える親が倒れたとき、残された子どもや家族がどんな課題に向き合うのかを、周囲の支援で奮闘する姿や、時には施設と激論を交わす場面を交えて描いた。

 貞末さんは前作を撮影する中で、障害のある子どもを介護している家族が夢を諦めたり、親が「自分が先に死ぬわけにはいかない」と考えたりする姿を見てきた。「この子を殺して私も死ぬ」と語る親もいたという。

 「普通に死ぬ」というタイトルには、出演者の一部からも反発があった。それでも貞末さんは「子どものことを思って『普通に死ねない』親を見てきた。その現実から逃げてはいけない」と話す。「子どもより1日でも長く生きる」ことを願ってきた親が、映画を見た後、「私のことは子どもにみとってもらうと決めた」と言ってくれたのがうれしかったという。

 貞末さんは「社会の意識や制度が障害者の障害になっているケースもある。人を支える人に対する支援を大事にする社会であってほしい」と話す。

 6月4日まで。上映時間は5月28日までは午前11時45分から。29日からの上映時間など、問い合わせは横浜シネマリン(045・341・3180)へ。(足立優心)