ご当地創作落語漫談師 田螺踊理さん(66)=宇都宮市

中村尚徳
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 【栃木】「教壇」を下り「高座」に上がっている。「ご当地創作落語漫談師」と称し、地域に笑いを届けている。

 教職生活36年。宇都宮市の三つの小学校で校長を務めた。校長時代の全校朝会で子どもたちに人権講話として披露した創作落語が「初演」。6年前に退職し、栃木県内を中心に二百数十カ所を回ってきた。高齢者学級やPTAの研修会などに呼ばれている。

 持ちネタは古典も含め約30席。目玉のご当地創作落語は熱い「栃木愛」から生まれる。都道府県魅力度ランキングで全国最下位に転落する以前から、影が薄い印象を何とか変えたいとの思いに駆られ、郷土の名所や名物を織り込む。

 「ザ・ぎょうざ対決」は宇都宮市と浜松市の争いに決着をつけるあらすじ。浜松の専門店を食べ歩きながら作った。イチゴ生産量が50年連続日本一を達成した記念の「いちご王国」は、県いちご研究所への取材などを生かし、県民なら知っておきたい内容をふんだんに盛り込んだ。

 師匠についたことはない。東京の浅草演芸ホールに行って見よう見まねで覚えた。間の取り方や言葉遣いは授業で磨いた。若いころに覚えた手話が身ぶり手ぶりや豊かな表情づくりに役立っている。

 独特の芸名は大学時代、恩師から伝授された宴会芸「たにし踊り」にちなんだ。四つの漢字を分解すると本名の田中政男が入っている。商標登録もした。

 コロナ禍で昨年3月から11月は休んだ。7年連続でつとめた「高座」も途絶えた。それでも、午前と午後の2回に分けて「密」を避けたり、畳1枚大のアクリル板を自費で用意したり。早く感染が収束してほしいと願う。

 1カ所最大2時間。落語の合間に約50話ある「ご当地漫談」をはさむ。「栃木の桜」は県内約500カ所を巡って完成させた。

 「漫談家」ではなく「漫談師」とする肩書に元教師のこだわりをのぞかせる。「今までにない『お笑いの世界』を広げたい。聴いて楽しく、生活に役立つ。勉強になったよ、と喜ばれるのがうれしい」(中村尚徳)