米音楽界、BLMと共鳴 差別への抵抗、歌に託した歴史
定塚遼
米国で黒人男性ジョージ・フロイドさんが、白人警官に暴行され死亡してから25日で1年となる。これを機に拡大した、人種差別に抗議するブラック・ライブズ・マター(BLM)運動は音楽界にもうねりを起こした。米国音楽には、古くから差別に苦しむ人々が、思いを歌に託してきた歴史がある。
「我々を犬かハイエナみたいにおりに入れるんだ」
「我々は何の理由もなく殺されている」
3月にあった米音楽界で最も権威のあるグラミー賞の舞台で、たぎる怒りを前面に出し、警察や司法権力の不正を歌ったアフリカ系米国人ラッパー、リル・ベイビーによる「ザ・ビガー・ピクチャー」のパフォーマンスは大きな話題を呼んだ。
ヒップホップに詳しい音楽ライターの渡辺志保さんは「人種差別に対する抗議は、ヒップホップが生まれた1980年代からの大きなテーマ」とした上で、「昨年来、米国社会においてラッパーたちが立ち上がることで、SNSなどを通じてさざ波のように、人々の間に意識の変化が広がっていった」と語る。
「アイ・キャント・ブリーズ…