声押し殺し、病名を言った母 強制隔離が奪った家族関係

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聞き手・桜井泉
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 ハンセン病患者に対する国の隔離政策をめぐる訴訟で、元患者家族への損害賠償を国に命じた判決から、6月で2年になる。だが、今なお、家族だったことを明かせない人たちもいる。「家族との関係を取り戻す闘い」。家族訴訟原告団副団長の黄光男(ファングァンナム)さんは、コロナ禍の中で全国を回り、自身の経験を語り続ける。

 ――判決を受けて、国から補償金が出るようになりましたが、申請したのは対象者の約3割です。申請をためらう家族も少なくありません。

 「つらい体験を思い出したくない。申請に際して個人情報は守られるが、患者の家族だった過去を知られたくない。一切、耳をふさぎ、目を閉じてしまう。そんな気持ちが強いのでしょう」

 ――そうした家族たちに「そろそろ語り始めよう」と呼びかけています。なぜでしょうか。

 「訴訟の本人尋問で、原告たちは、本名を明かさずに差別された経験などを語りました。その後、懇親会で語り合うと、みな晴れ晴れとした表情になっていました。そんな姿を見てきたからです」

 「病気になった親への恨み。根拠のない罪悪感。そうした気持ちを抱いて生きてきた人たちが、過去を語ることで自分を見つめ直す。堂々と胸を張って親を誇りに思えるようになる。隠していた過去から解き放たれた、とでも言ったらいいのでしょうか」

在日朝鮮人ハンセン病の家族という二重の差別にさらされていた黄光男さん。幼い頃に両親と離別し、看取る時でさえ他人行儀だったといいます。そんな黄さんが家族の関係を取り戻せたのは、父のある姿を覚えていたからでした。

 

 黄さんが1歳の時、母と6歳…

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