経世彩民 藤えりかの目
少子高齢化に財政赤字拡大、世界的な携帯端末メーカーの敗退と、フィンランドは日本と同じような課題を抱え、負の経験もしてきた。なのにデジタル化の進展は欧州一と、大きく歩を進めている。なぜ開きが? 記者サロン「欧州で最もデジタル化した国フィンランドの秘密」を開催し、取材を進めるうち、日本型の組織のありようからいよいよ脱しなければ……という焦燥感にも駆られてきた。
記者サロンで探る「フィンランドの秘密」
記者サロンでは、財務省でデジタル化に取り組むマリア・ニッキラ行政ICT化推進部情報管理シニアアドバイザーのインタビュー動画なども紹介。教育や医療、日本のマイナンバーに当たるIDの仕組みなど公共サービスでのデジタル化なども取り上げています。タルキアイネンさんの数々のコメントを含むアーカイブ動画を合わせてご覧ください。
フィンランドは欧州で最もデジタル化が進むとされる。欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会が昨年発表した「デジタル経済社会指数」(DESI)では、加盟国と英国の計28カ国中、2年連続で1位に。特に評価を押し上げたのが、デジタル人材の豊富さなど民間の力だ。背景を考えようと記者サロンを開き、フィンランド発のITコンサルティング企業「リアクタージャパン」でソフトウェアエンジニアとして働くラウラ・タルキアイネンさんをゲストに迎えた。
千人以上の参加申し込みがあった記者サロンに先立ち、彼女に「リアクターってどんな会社?」と尋ねると、こう返ってきた。
「部署もなければ上司もいな…