将棋の藤井聡太王位(18)=棋聖と合わせ二冠=の防衛戦の相手が、豊島将之竜王(31)=叡王と合わせ二冠=に決まった。これまでの公式戦の対戦は、豊島が6勝1敗と大きく勝ち越している。しかし、豊島にとって、一回り年下で成長著しい藤井は脅威と言える存在だ。忘れられない2年前の豊島の言葉がある。
大阪市福島区の関西将棋会館で24日に行われた、第62期王位戦(新聞三社連合主催)の挑戦者決定戦。豊島は羽生善治九段(50)を破って、藤井への挑戦権を獲得した。3期ぶりの王位獲得を目指す豊島は対局後、「大変な相手ですけど、精いっぱい指していい勝負ができたら」と語った。藤井は、渡辺明名人(37)=棋王、王将と合わせ三冠=と戦う第92期棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催)の開幕を6月6日に控えており、ダブルタイトル戦となる。
両者は2017年8月、公式戦で初めて顔を合わせた。藤井はその2カ月前に、公式戦29連勝の新記録を樹立していたが、結果は豊島の勝利。当時、中学生だった藤井は「はっきり力負け」「まだまだタイトルには実力不足。これから一歩一歩強くなっていきたい」と語った。トップ棋士の壁の厚さを実感する結果となった。
2年後の19年5月、豊島は名人を獲得して三冠となった。名実共にトップとなった翌朝のインタビューで、ある記者がこんな質問をした。
「藤井七段を以前から評価している。どう見ていますか」
新名人に対して、まだタイトルを取っていない新鋭についてコメントを求めるのは時期尚早のようにも思える。しかし、豊島は、はぐらかすこともなく、真顔のままこう答えた。
「素晴らしい才能の持ち主…