五輪組織委、山梨知事の苦言にクギ「繰り返すなら影響」

吉沢龍彦
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 東京五輪聖火リレーについて、山梨県長崎幸太郎知事が「スポンサーがあえて人を寄せてしまうやり方はいかがなものか」と20日の記者会見で述べたのに対し、五輪組織委員会の布村幸彦副事務総長が県側に「聖火リレーはパートナー企業の協賛金があって成り立っている。ご理解いただきたい」と電話で要請したことが分かった。

 この動きについて、長崎知事は24日、朝日新聞の取材に対し「聖火リレーと感染拡大防止の両立を考えて問題提起をした。それに対して組織委がこういう高圧的なスタンスだと、リレーの実施自体に県民の理解を得られるか、自信がない。たいへん残念に思う。ぜひ建設的な話し合いをしてほしい」と話した。

 県内の聖火リレーは6月26、27日に行われる。長崎知事は記者会見で、実施方法についての考え方を問われ、「できる限り公道で」と述べつつ、パートナー企業の車がランナーの前後に連なり、沿道の観衆に応援グッズを配るなどすることに疑問を呈した。

 県関係者によると、布村氏の電話は会見の翌日にあり、渡辺和彦副知事が受けた。布村氏は「聖火リレーはパートナー企業の協賛金があって成り立っている。音量を下げ、グッズ配布もランナーに関係あるものに限るなど配慮している。理解いただきたい」と話したという。渡辺副知事が、知事の発言は感染拡大防止への配慮の必要性を述べたものだと説明すると、「いずれにしても聖火リレーは協賛金で成り立っている。発言が繰り返されるようだと影響が出ると知事に伝えてほしい」と述べたという。

 組織委の担当者は山梨県に対する電話での要請についてメールでの取材に応じ、「各県とはいろいろなレベルで綿密にコミュニケーションを図るよう努めている」と説明。パートナー企業の活動については「聖火リレーがやってくることを沿道の方々に知らせ、応援をお願いする重要な役割を担っている。聖火ランナーご本人と彼らが有するメッセージの発信を最優先に考えている」としている。(吉沢龍彦)

 20日の記者会見での長崎幸太郎知事と記者のやりとり(要旨)

 記者の質問 聖火リレーを公道でやらなかったり無観客だったりという判断をしている県もある。知事はどのような方法を考えているか。

 知事の発言 やる場合はできる限り公道でやるのがいいとは思っている。思ってはいるが、感染状況次第だ。危惧しているのは、聖火リレー聖火ランナーが走るのがメインイベントだと思うが、その前後で大規模なスポンサーカーが例えばノベルティーグッズなどを配って、あえて人を寄せてしまうようなやり方はいかがなものか。先日、各県の知事と広島で会合する機会があり、皆さんそこに対して危惧とか憤りを表明していた。聖火ランナーがリレーすることがメイン。あえて他の要素で密の状態を作り、聖火リレーをやるべきでないといった判断を余儀なくされるような事態は(避けられるように)、ぜひスポンサーの皆さんには、良識を持った御判断を願いたい。