「トレラン」日本の大会は大丈夫? 中国で21人死亡

忠鉢信一
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 中国・甘粛省で22日に開催された100キロのトレイルランニングレースで、国際級の選手を含む21人がレース中に死亡した事故は、日本の関係者にも衝撃だった。競技団体の日本トレイルランニング協会は、大会主催者などに対策の徹底を呼びかける。普及に取り組む日本トレイルランナーズ協会の鏑木毅会長は「コロナ禍でアウトドアが人気になり、愛好者が増えている。今後、大会が開催されるようになった時に、初心者に対する安全教育が重要だ」と警鐘を鳴らす。

 24日に公表された日本トレイルランニング協会の注意喚起は、大会主催者などに防寒に必要な装備品の確認をはじめ安全対策の再点検を求めた。参加者が出走する前に装備品を確認するだけでなく危険を説明すること、新規の大会の場合は安全対策について専門家に相談することも明記した。事故が起きた中国の大会では、スタートから20~31キロの序盤で天候が急変し、低体温症になった選手が命を落としたとされる。

 日本トレイルランニング協会の岸正夫理事は「国内では数年に一度、死亡事故が起きることがあるが、持病の悪化や滑落が原因。レース中の天候急変で複数が行方不明になった前例はなく、日本の大会も同じように危険とは思われたくない」と話した。

 トレイルランニングは陸上競技の種目として五輪に導入される可能性があり、国内でも日本陸連の傘下に入ったばかり。しかし日本のトレイルランニングは山岳競技として発展してきた歴史があり、選手も大会主催者も事故防止に対する意識は高いという。

 世界最高峰とされる09年ウルトラトレイル・デュ・モンブランで3位になったプロ選手でもある鏑木会長は、中国で死亡した選手の一人の梁晶と深交があった。梁晶は、富士山麓(さんろく)を走る国際大会ウルトラトレイル・マウントフジで19年に準優勝した実力者。鏑木会長は、同大会の実行委員長として梁晶と知り合った。

 「梁晶ほどの選手がスタートから20キロ余りで死亡事故に遭うとは驚いた。雨に降られるとまず選手は装備を重ね着したり、補給食でカロリーを取ったりして対策を取る。しかし強風と雨に長時間さらされたりすると、意識がもうろうとしてくる。そうすると、安全な場所に身を隠すといった命を守る行動が取れなくなることがある」

 日本トレイルランナーズ協会は、趣味としてトレイルランニングを始めた人を対象に、山での安全やマナーについての啓発活動に力を入れているという。(忠鉢信一)