牛のえさ、センサーで発酵具合判定 乳量アップへ開発中

谷口哲雄
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 牛のえさの品質を「においセンサー」で判定する研究を、茨城県つくば市の物質・材料研究機構と農業・食品産業技術総合研究機構が進めている。えさの品質は牛の体調や乳量に影響するといわれ、経験が浅い人でも的確に判別できることをめざす。研究が進めば、乳量のアップにつながるかもしれない。

 センサーで判定するのは牛のえさの一種であるサイレージ。牧草などを発酵させてつくる。発酵がうまく進んでいるかどうかは、においなどで判断するが、慣れないと微妙な違いは分かりにくいという。

 研究チームは、発酵品質がよくないサイレージに多く含まれる酪酸やプロピオン酸に注目した。これらをセンサーで検出すれば、品質の良しあしの見当をつけられるというわけだ。

 農研機構の中久保亮・主任研究員(40)は「サイレージのにおいだけで品質を100%判定できるわけではないが、簡易的な目安になる」と説明する。

 センサーは物材機構が開発した。シリコンの膜に高分子などを塗ってあり、においを吸着すると電気抵抗が変化する仕組み。吉川元起グループリーダー(44)は「センサーの素材を変えれば、さまざまなにおいに対応できる」と話す。

 今年2月から3月にかけて、千葉県いすみ市の高秀牧場で6週間にわたり実験した。乳牛を30頭ずつのグループに分けて片方には品質の良いサイレージを、もう片方にはそれほどではないサイレージを与え、食べたえさの量や乳量を毎日記録した。サイレージのサンプルも持ち帰った。今後データを分析し、サイレージの品質が乳牛にどんな影響を与えるかを調べる。

 高秀牧場の高橋憲二社長(56)は「同じサイレージのにおいをかいでも、経験の差で人ごとに評価が分かれる場合がある。センサーの判定結果が、より良いえさの与え方につながるといいですね」と期待する。(谷口哲雄)