竜象眼の鉄鏡、古代東アジア交流を映す 大塚山古墳

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編集委員・中村俊介
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 世界遺産百舌鳥(もず)・古市古墳群」(大阪府)でかつて出土した鉄鏡に、竜の象眼が隠れていた。それも両面に。5世紀の日本列島に君臨したという「倭(わ)の五王」に絡む鏡かも――。そんな想像さえ脳裏をよぎる。

 一見さびだらけの、なんの変哲もない鉄の円板。かつてまばゆい輝きを放った鏡とは、その来歴を知らなければ誰も想像できないだろう。まして、さびに埋もれた表面に象眼模様が隠されていようとは。

 「拾い上げられたのは、はっきりした線だけ。細かい線がもっとたくさんある。それがわかれば」。保存科学が専門の西山要一・奈良大名誉教授は、そう言った。

 鉄鏡は戦後、百舌鳥古墳群(堺市)の大塚山古墳(4世紀末~5世紀初頭)で見つかった。墳丘は宅地開発でもはやないが、かつては同古墳群で5番目の規模を誇った大型古墳で、鉄鏡はその主の持ち物だった。

 西山さんや堺市博物館、鏡を所蔵する関西大考古学研究室の関係者がこのほど、九州国立博物館福岡県太宰府市)撮影のCT画像を再検証したところ、竜をかたどる金属線が両面に浮かんだ。対象を立体的に切り取るCTの500コマ近い画像をつなぎ合わせ、分断された象眼線が描く全体像をつかんだのだ。

 西山さんによれば、銀は金に比べて輪郭がぼやけやすく、鉄鏡の図像は「額田部臣(ぬかたべのおみ)」銘文で知られる岡田山1号墳(松江市)の銀象眼大刀の状態に似て、銀線らしい。鳳凰(ほうおう)のような図像もあり、本来はもっと複雑な模様が刻まれていたとみられる。

 神秘的な鏡は、古代人があの…

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