派遣切り横行せず、リーマン後に教訓…パーソルHD社長

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内藤尚志
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 人材派遣大手パーソルテンプスタッフなどを傘下に持つパーソルホールディングスの和田孝雄社長(58)が、朝日新聞のインタビューに応じ、コロナ禍によって落ち込んだ人材派遣の需要の回復が「想定より早く進んでいる」との見方を示した。派遣契約の終了も見込みより少なく、「派遣切り」の横行はなかったとも指摘した。派遣先の企業に、2008年のリーマン・ショック後に過剰な人減らしをしたことで業績回復期の人手不足に苦しんだ反省があるからだと説明した。

 総務省労働力調査によると、今年3月の派遣社員数は136万人で、1年前より約6%減った。雇われて働く人全体の減り方(約1%減)よりも大きい。和田氏の見方への評価はわかれそうだ。

 グループ企業が厚生労働省から開発を請け負った新型コロナウイルス感染者接触通知アプリ「COCOA(ココア)」の不具合については、和田氏は「世の中に心配をかけた」と謝罪。業務の難易度が高いのに、要員などの体制を十分に整えていなかったのが原因だったとした。

 インタビューでのおもなやりとりは、以下のとおり。

     ◇

 ――コロナ禍で雇用の悪化が進みました。

 「いまは回復基調にあるという感覚です。3月ごろからそれが鮮明になりました。人材紹介の需要は一時コロナ前の半分に減りましたが、いまは75~80%ほどになり、想定どおりのペースで回復中です。一方で人材派遣の回復は想定より早く進んでいます」

 ――需要が急回復している理由は。

 「コロナ禍の始まりから一定の期間がたち、人材の採用にドライブをかける企業が出てきました。旅行や飲食、小売りといった業界は厳しいが、それ以外のところは業績も堅調になり、積極的な採用に軸足を移したり、採用のブレーキを外したりしていますね」

 ――パーソルグループで雇っている派遣社員は、昨年2月には11万6千人でした。それが今年1月には10万2400人まで減ったというデータを公表しています。

 「3月には少し増えています。3月末は毎年、派遣契約の終了が多く、今年は1万5千人ぐらい出ると想定していましたが、それより十数%少なかった」

 ――景気がよくなると増やされ、悪くなるとまっ先に減らされるのが派遣社員だとされます。その不安定さが、コロナ禍で再び問題視されました。

 「そうでしょうか? リーマン・ショック後にあった『派遣切り』では、われわれの業界も指弾されました。今回はそういったことはほぼない。派遣社員がまかされる仕事の重みが増し、派遣先の企業は景気が悪くなっても(派遣契約を)終了できないと考えるケースが非常に多かった。派遣で働く方が不安定さを感じる必要はあまりなかったと思います」

 ――総務省労働力調査では、この1年間で正社員数はやや増えたのに対し、派遣も含む非正社員数は減っています。

 「派遣だから雇用が安定しないのではなく、景気が悪化して労働者数そのものが減っています。正社員でも、社外に出向させないと雇用を守れないところも出ています」

 ――「派遣切り」は横行していませんか。

 「パーソルグループでは、昨…

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