緊急事態「6月20日まで」延長有力 9都道府県で調整
政府は、東京や大阪など9都道府県に出している新型コロナ対応の緊急事態宣言について、月末の期限を延長する方向で最終調整に入った。専門家の意見を踏まえ、週内に政府の対策本部を開いて決定する方針だ。延長の期間は、23日から宣言の対象となった沖縄県と同じ6月20日までとする案が有力となっている。
複数の政府関係者が明らかにした。26日にも関係閣僚で延長方針を確認する。対象は北海道、東京、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、福岡の9都道府県で、感染状況や医療提供体制はいまだ大きく改善していない。25日の新規感染者数は、東京で542人、大阪で327人と前週比で減少傾向にあるが、東京などでは大型連休後に人出が増え、専門家は感染者数が再び増加に転じる可能性も指摘する。
24日時点で9都道府県の病床使用率は38~88%で、東京以外はステージ4(感染爆発)の基準である50%を超える。田村憲久厚生労働相は25日の閣議後会見で「延長することも当然視野に入れながら、最終的には専門家の評価を参考にして判断したい」と語った。首相官邸の幹部は「どの地域でも医療体制はまだ脆弱(ぜいじゃく)なまま。これで解除はできない」との見方を示す。
大阪府は25日、対策本部会議を開き、宣言の再延長を政府に求める方針を決めた。26日に要請する。吉村洋文知事は会議で「感染の山を何とか迎えながら(新規感染者数は)減少傾向にあるが、医療体制は非常に厳しい状況が続いている」と述べ、兵庫県や京都府と一体で要請する方向で調整する。福岡県は25日、政府に宣言延長を要請した。
延長期間について、政府の分科会の尾身茂会長は「(感染状況が)下げ止まっても2、3週間はぐっと我慢するということが必要」と指摘する。政府内では6月20日までとする案が有力だ。7月23日に予定する五輪開幕の1カ月前にあたり、政府関係者は「五輪の準備を進めるためのぎりぎりのタイミング」と話す。宣言延長により、できる限り感染を抑え込んだうえで五輪につなげる狙いがある。官邸幹部は「ステージ2(感染者漸増)に近いところになれば観客を入れられる」とし、感染状況を改善させ、五輪の無観客開催を避ける思惑ものぞかせる。
政府は宣言延長による経済への打撃も懸念しており、感染状況次第で圏域で先行解除することや、全体を2週間の延長にとどめる案も検討している。一方、感染力が強いとされるインド型変異株への懸念も出ており、仮に感染状況が収まらず「再々延長」となれば、「五輪はアウト」(政府関係者)との危機感がある。

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