解がない…全日空の需要予測担当、コロナの悩み終わらず

有料会員記事

木村聡史
[PR]

 新型コロナウイルスで航空需要が低迷する中、今期(2022年3月期)の黒字予想を宣言したANAホールディングス(HD)。国際線の回復がワクチン頼みの分、黒字達成のカギを握るのは国内旅客の動向だ。その予測を担う中枢の部署は、費用を抑え収益を最大化しようと、搭乗者数に応じた最適な便数、機体での運航をめざす。だがそれは簡単ではない。苦悩の日々の連続だ。

 東京・汐留。ANAHD本社が入るビルの37階で、傘下の全日本空輸に勤める崔(チェ)竜(ヨン)さん(37)がパソコンの画面をじっと見つめていた。画面には、全日空の国内便の搭乗者数と、コロナの新規感染者数の推移。二つのグラフが表示されていた。感染者数が増えれば、その後で搭乗者数が反比例するように減っていた。

 崔さんが所属するのはレベニューマネジメント部の国内チーム。過去のデータ分析に基づいた将来の需要予測をもとに各路線の座席数や運賃などを設定し、国内航空事業の収入をいかに増やすかの戦略を考える。全日空では経営の一翼を担う重要な部署だ。崔さんは米ワシントン支店での勤務を経て17年に配属され、5年目を迎える。

 異動した当初の国内チームの課題は、人口減少の局面でどうやって収入を引き上げるか。アクティブシニア層向けのサービスや、訪日客向けの国内線の利用促進など、主に増収策の戦略を練っていた。

 だが突然のコロナ禍で「いかに稼ぐか」から一転、減収を前提に「いかに赤字を抑えるか」が目標になった。「これまで経験したことがない全く別の戦略をとらざるを得なくなった」(崔さん)。会社が倒産しないのが最優先だが、それでも公共交通機関として移動手段をいかに提供するか。ギリギリのバランスをとるための需要予測が日々の仕事となった。

 だが分析するデータに乏しか…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。