子育て、歌や絵本で応援

塩入彩 小林直子
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 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、子育て中の母親たちを応援しようと、子育ての「先輩」たちが立ち上がった。家にこもりっきりで孤立しがちな母親たちに、歌や絵本でエールを送る。

 ♪今日も全然かたづかなくってさ 君の相手してやれなくってさ

 楽曲「Mam smile, Your smile」は、そんな歌い出しで始まる。板橋区で主婦らを中心に結成した子育て応援バンド「音ごはん」と、同区で育児をする女性の社会復帰を支援してきた「マム・スマイル」が一緒に作り、4月末にユーチューブなどで発表した。

 マム・スマイル代表の坂東愛子さん(40)は、コロナ禍でママ同士が交流しにくくなっていることが心配だった。自身も2013年に出産した当時、地域に知り合いが少なく落ち込むことも多かった。「ネット情報に振り回され、『完璧な育児ができていない』と罪悪感を抱くママは多い。コロナ禍でより追い詰められていると感じます」。そんな中で音ごはんのメンバーと出会い、一緒に応援ソングを作ることにした。

 部屋が片づかなかったり、フライパンが焦げたり――。歌詞では、ママたちの「完璧」とはいかない日常を描きつつ、「じゅうぶんだよ ほどほどにできれば」と歌う。「ママの完璧な姿ばかりを見てたら子どもたちも大変。失敗してもいいんだよと伝えたかった」と坂東さん。音ごはんのボーカル・もともとこさん(45)も「私自身も子どもを怒りすぎて落ち込む毎日だけど、この歌に助けられている。追い詰められがちなママたちの心を歌で解放できたら」と話す。

 ユーチューブでミュージックビデオを公開し、音楽配信サービスでも配信中。詳細はマム・スマイルや音ごはんのホームページへ。(塩入彩)

     ◇

 孤独な子育てに悩む人を減らしたい――。そんな思いを込めた絵本を、東京都立川市で母親たちに学びや交流の場を提供してきた会社が制作中だ。

 手がけるのは同市の合同会社「Dear Mother」。代表の水城優子さん(35)は、6歳の男の子を育てる元保育士だ。2015年に子連れで参加できるイベントなどを主催する団体を設立し、1千組以上の親子と接してきた。

 活動を通じて感じた課題は「参加するのは情報を求めて自ら動く積極的な人が多い」ということ。支援が必要なママとつながる方法を模索する中、昨年、コロナ禍でイベントが開けなくなったことも転機となり、絵本制作をスタートした。

 「大切なのは誰かが決めた『理想の母親』になることではなく、あなたがあなたらしくいられること」。産後の母親に寄り添う文章は、育児中の父母約200人にアンケートし、オンラインで開いたママ交流会の参加者や産婦人科医の意見も聞いて練った。色々なタイプの母親や赤ちゃんの様子、子育て中の散らかった部屋……。絵本の中のカラフルなイラストも、多くの人が共感できるよう、作画を担当する絵本作家と話し合いを重ねている。

 絵本の題名は「あなたをここに表彰します」。表彰状のような装丁で、裏表紙には子どもの写真や手形足形を入れられる。1冊1500円(税込み)でインターネット販売するほか、出産後の母親に無料配布できるよう、地元の産婦人科医院にはたらきかけている。

 「コロナ禍で『孤育て』がますます進んでいる気がします」と水城さん。巻末にはオンラインで子育てコミュニティーにつながれるQRコードや、産後の母親の体と心の変化などの情報も載せた。

 クラウドファンディング(CF)大手の「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」(https://camp-fire.jp/projects/view/411126別ウインドウで開きます)で支援を募る。目標額は100万円。今秋の出版をめざしている。小林直子