北限のライチョウ守るには 妙高市がCFで生態調査

近藤幸夫
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 国の特別天然記念物・ライチョウの北限の生息地として知られる火打山(新潟県、2462メートル)で、同県妙高市が生態調査に取り組んでいる。調査は、クラウドファンディング(CF)による資金調達方式で、新潟ライチョウ研究会が実施し、今回が3回目。温暖化が原因とみられる生息環境の悪化で、生息数減少の恐れもあり、同市は「継続的な調査でライチョウが生息する環境を守りたい」としている。

 ライチョウは、本州中部の高山帯にのみ生息している。現在、火打山がある頸城(くびき)山塊、北アルプス南アルプス乗鞍岳御嶽山の五つの山域に独立した集団として生息。頸城山塊は最少集団のうえ、北限のライチョウとして貴重な生息地とされる。

 ライチョウは、1980年代の調査で約3千羽と推定されたのが、最近では約1700羽まで減ったとされる。テンやキツネなどの天敵が高山帯まで進出したほか、ニホンジカがライチョウの餌となる高山植物を食い荒らしたことなどが原因とみられる。

 2012年、環境省が公表したレッドリストでライチョウは「絶滅危惧Ⅱ類」から「絶滅危惧ⅠB類」にランクが上げられ、絶滅の恐れが高まった。このため、同省は14年に「第1期ライチョウ保護増殖事業実施計画」を策定。火打山のライチョウは最少集団に加え、他の山域に比べて最も低い場所で繁殖しているため、気候変動の影響を受けやすい。その保護は緊急度が高く、優先して対策を講じることになった。

 火打山では近年、生息地の山頂付近でイネ科の植物が繁茂し、ライチョウのエサとなるコケモモなどが減少した。温暖化が原因とみられ、同省では16年からイネ科植物の刈り取りなどの対策を講じている。

 15年、火打山のほか、妙高山、戸隠山にかけての一帯が「妙高戸隠連山国立公園」に指定され、ライチョウは豊かな自然を代表する鳥になった。妙高市は「火打山周辺のライチョウの生息数や詳しい生息場所の確認が、保護のために必要」と考えた。

 CFで資金を集め、19年度、20年度と生態調査を実施した。火打山のほか、隣接する焼山でも生息数や場所を調査した。現在、二十数羽が生息しているとみられる。また、センサーカメラ10台を設置し、ライチョウのほか、テンやニホンジカなどライチョウの生息に影響を与える動物などの撮影にも成功している。今年度について昨年10月~12月、CFで142万円が集まった。今年度は5月23日に調査を開始。来年3月末まで続ける。(近藤幸夫)