馬毛島 2回目デモ飛行 「判断材料足りぬ」西之表市長

具志堅直、奥村智司
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 防衛省は25日、米軍機の訓練移転を計画する馬毛島鹿児島県西之表市)で、訓練に伴う騒音を計測する2回目のデモ飛行を実施した。今月上旬に悪天候で中止した「平日分」の計測で、結果は後日公表する。飛行が訓練の実態と異なるとして、西之表市の八板俊輔市長は「これだけで判断できない」との見方を示した。

 16日の日曜日に実施した1回目と同様、航空自衛隊のF15戦闘機を使用した。午後3時半から6機、午後6時から2機が約1時間ずつ、米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)で想定される4~8ルートを飛んだ。馬毛島には滑走路が整備されておらず、「タッチアンドゴー」と呼ばれる離着陸訓練はしなかった。

 同省は前回のデモ飛行で騒音を計測した際、南種子町、屋久島町、南大隅町、三島村(竹島)では音を確認できなかったとして、今回は西之表市と中種子町の計8地点に限って計測した。

 日中のデモ飛行を市長室で見守った八板市長は終了後、「実際のFCLPと飛ぶ機数や回数が違う。タッチアンドゴーで上昇する時の金属音はデシベルで図れないものがあり、今回のデモ飛行だけで騒音の程度を判断できない」と受け止めた。市民に騒音を実感してもらう取り組みについて「これ以上のことを防衛省は考えていないかもしれないが、今後協議していきたい」と話した。

 塩田康一知事も1回目に続き市内で視察した。県として平日の実施を同省に求めたという。この日のデモ飛行について塩田知事は「防衛省はできる範囲でやったと思う。一つの判断材料を提供していただいた」と記者団に繰り返した。(具志堅直、奥村智司)

 防衛省は4月末、馬毛島をめぐる環境影響評価(アセス)の調査手法などを示す方法書に対して寄せられた意見概要を公表した。FCLPを始めとする訓練騒音の「実測」を求めるものが、複数寄せられていた。方法書では、FCLPを含め軍用機の騒音データを基にした「シミュレーション」で騒音を予測する、としているためだ。

 防衛省はそもそも、デモ飛行の結果をアセスに反映させない考えだが、その手法も識者や市民らからの要望とは隔たりがある。

 「できる限り実態に沿った測定でなければ意味がない」。こう指摘する意見では、馬毛島近くに米空母を配置し、FCLPを実際に行う時間帯に米艦載機が飛行実験をすることを防衛省に求め、「(市民が)善しあしを判断して納得を得られる」と訴えた。

 現在訓練が行われている硫黄島(東京)の周辺に測定船を出して調べるべきだとの提案もあった。硫黄島などFCLPが行われる施設での実態調査を欠く手法には、基地容認派からも「看過できない」との批判もあがった。

 米軍機の飛行を日本政府がコントロールできない、という前提を踏まえたアセスを求める意見も複数あった。防衛省は「米軍と調整した」とし、種子島の上空を通らないFCLPのルートを示している。これに対し、「風によるコースアウトも含め、経路を最大限に逸脱した場合のアセスを要望する」とし、「(国内で飛行する)米軍機が経路を外れている事実を市民に説明すべきだ」と求めた。