縄文文化のすごさとは 世界に類のない「食」と「住」

有料会員記事

編集委員・宮代栄一
[PR]

 「北海道・北東北の縄文遺跡群」がユネスコの世界文化遺産になる見通しになりました。縄文と聞いて、歴史の授業で習って以来という人も少なくないのでは。縄文時代や縄文遺跡をいちからおさらいします。

縄文時代、ヨーロッパの世界史的に見ると

Q 何が世界遺産になるの?

 日本政府が推薦していたのは17遺跡。北海道、青森県、岩手県、秋田県の4道県にまたがっている。大規模な貝塚あり、祭祀を行ったストーンサークルあり、集落跡あり、お墓ありと遺跡の種類もさまざまだ。縄文時代の始まりといわれる1万5千年前の大平山元遺跡(青森県)から、3千年~2500年前の亀ケ岡石器時代遺跡(青森県)まで1万年以上にわたっているんだ。

Q 縄文時代ってどんな時代なの?

 狩りで獣をとったり、海で魚や貝をとったり、果実などをとって、時には栽培したりする暮らしを基盤としながら、人々が1カ所に定住して暮らすようになった時代だ。縄文という名前の由来は最初に見つかったこの時代の土器に、縄目の模様がつけられていたことから名づけられたんだ。縄文時代は世界的な時代区分でいうと、新石器時代にあたる。同じ頃、西アジアなどでは穀物の栽培と牧畜が始まり、人々が1カ所に住みついて集落などをつくるようになっていた。中国では1万年前ごろに長江流域の彭頭山文化や黄河流域の裴李崗文化といった新石器文化が誕生している。

Q 新石器時代って?

 世界史的にはヨーロッパを中心に、石を主な道具としていた石器時代のうち、石を磨くなどして作られた磨製石器が使われた時代を「新石器時代」と呼び、打ち欠いて作られる打製石器が使われた時代は「旧石器時代」。主な道具の材質に基づいて、旧石器時代→新石器時代→青銅器時代→鉄器時代と移り変わっていったと考えられているんだ。

 日本の考古学では、土器が使われたどうかや特殊な形の墓が作られたかどうかなどの基準をもとに、旧石器時代(先土器時代)→縄文時代→弥生時代→古墳時代という時代変遷があてられている。ヨーロッパの区分にあてはめるなら、縄文時代は新石器時代、弥生時代は青銅器時代にあたると考えていいだろう。

 ちなみに、先土器時代というのは「土器が使われる前の時代」という意味。「先史時代」というのは、人々が文字を使って記録を記すようになった「歴史時代」より前の時代、文字がない時代のことを指す。だから、先史文化とは文字がない時代の文化のことを言うんだよ。

世界遺産でも珍しい縄文遺跡のすごさとは

Q 縄文文化って何がすごいの?

 2021年現在、世界遺産として登録されている文化遺産のうち、今回、登録勧告された縄文遺跡群のように営まれた期間が長いものは珍しい。東北芸術工科大学准教授の青野友哉さんは「狩猟採集民イヌイットの文化として世界遺産に登録されたデンマークのアーシヴィスイト・ニピサットにしても、その継続期間は紀元前4200年ごろから現代までの約6200年間に過ぎない」と話す。

 もう一つ注目されるのは、狩猟採集を基盤としていたにもかかわらず、基本的に定住生活をしていたことだ。アーシヴィスト・ニピサットでも夏と冬とでは居住地を変えているし、狩猟採集民の場合、狩りの獲物がとれなくなれば拠点となる住まいを動かすといったことは珍しくない。しかし、縄文人は食料を多様な動植物から摂取することで、それらを克服した可能性が高い。「定住することで、縄文人は社会全体の知識を蓄積していった。それが複雑な祭祀や儀礼を持つ文化の発達へとつながった」と青野さんも話しているよ。

Q なぜ、北海道と東北だけなの?

 今回、世界遺産への登録が諮…

この記事は有料会員記事です。残り672文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る!】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら