病床の父のため手作り 鉄工所を継いだ息子の飲み物入れ

若松真平
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 実家に帰った際に見つけた金属製のドリンクホルダー。介護を必要とする父のために、鉄工所を経営する兄が作ったものだった。

両親の寝室に

 先日、ツイッターに投稿された2枚の画像。

 金属製のドリンクホルダー単体と、実際に紙パック飲料を入れた状態が写真に収められている。

 投稿した女性によると、1年ぶりに帰省した際、両親の寝室を整えていて見つけたという。

 見つけた瞬間に「これはきっと兄が作ったな。やるなぁ」と思った。

 もともと父が経営していた鉄工所を継いだ兄。

 実家の近くに住んでいて、両親の介護もしている。

 病床で紙パックのお茶をよく倒してしまう父が、「おい、何とかせい」と指示して作らせたものだった。

「売り物じゃないから」

 兄はきっと、「そもそも自分が飲み物を倒さないよう気を付ければ良いだけなのに」と思っていたはず。

 でも、師匠である父の依頼だったので、ちょっとした小物であっても変なものは作れなかったのだろう。

 廃材を使って手早く作ったそうで、「売り物じゃないから雑な作りだ」と言っていた。

 そうは言いながらも、角を丁寧に取るなど、使う人のことを考えていることが伝わってきた。

 息子が作ったドリンクホルダーについて、父は何も言わなかった。

 もともと人を褒めることがない性格。

 でも、ちゃんと使っているということは、満足している証しなんだと思った。

妹として思うこと

 新型コロナウイルスの影響で、久しぶりの帰省だった投稿主。

 1泊2日で両親を介護したが、相当な重労働だった。

 兄は日々こうなんだ。

 そう思ったら、さっき見つけたドリンクホルダーをツイッターで紹介してみようと思った。

 投稿してみると、「愛を感じます」「商品化して欲しい」といったコメントが寄せられた。

 思っていた以上の反響で、いいねは10万を超えてしまった。

 兄にも伝えたが、そういう話に疎いからか、ひょうひょうとしていた。

 普段、両親の介護をしながら愚痴を聞き、両親が寝た後に仕事をこなす兄。

 それでも、会えばいつも笑顔を見せてくれる。

 想像できないくらいストレスを抱えているはずなのに、妹の私を責めることはない。

 今回話題になったことで、せめて兄が喜んでくれていたらいいな、と思った。(若松真平)