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国内で広がるインド株の脅威 検疫に限界、市中感染も

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野口憲太、佐藤達弥
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 新型コロナウイルスの感染拡大で、インド型の変異ウイルスに対する警戒感が高まっている。国内でも英国型などと同じ「懸念される変異株」とされ、水際対策も強化されてきた。だがすでに、国内での感染事例はじわじわと広がりつつある。

 厚生労働省は26日、新型コロナ感染者のウイルスを分析した結果、これまでに国内で29人がインド型に感染していたと発表した。

 24日時点の数字で、千葉、大阪で6人、東京、静岡で5人、兵庫で4人などだった。空港検疫では、17日までに160人の感染が確認されている。

検疫に限界 「拡大始まっている」 

 検疫以外に国内で、インド型への感染者が初めて見つかったのが4月20日だ。その後、約1カ月で数十人規模に増えたことになる。

 東京都が独自に実施する、インド型を見つけるためのスクリーニング検査では、25日までに計14人からインド型の変異株が見つかった。

 都発表のうち9人は、海外渡航歴がある人との接触などが確認された事例で、検疫での流入を防ぐことには限界があったことも表している。

 海外と直接の関連が追えない例も、報告されている。

 東京医科歯科大学は5月14日、入院中の患者1人が、インド型に感染していたと発表した。

 基礎疾患のある40代の男性で、快方に向かっているという。渡航歴はなく、感染者との接触も明らかではなかった。

 同大の武内寛明准教授は、地域の感染状況をそのまま表しているとは限らないとしつつも、「(インド型の)市中感染の拡大が始まっている、と捉えることはできる」と話した。

高い感染力 英国型の1.5倍の試算も

 インド型の特徴とされるのが、感染力の強さだ。

 インド型は細かな遺伝情報の違いから、三つの系統に分類されていて、現状、このうち一部のタイプが特に警戒されている。

 このタイプのインド型の検出割合が高まる英国では、インド型の感染力を推計した分析があり、13日付の英国の専門家助言組織の報告では、英国型と比べて感染しやすさが1・5倍になっている「現実的な可能性がある」と指摘された。

 これを受けた英イングランド公衆衛生庁はリスク評価書を公表。どの程度かは不明確としつつ、「英国型と比べて増殖率が高い」と評価している。

 一方、重症化への影響は十分なデータがなく評価されていない。

 またインド型で懸念されているのが、従来株に感染した人にできた免疫の効果が弱まる可能性だ。再感染だけでなく、回復者の血液成分を使った治療法や従来株の情報でつくられたワクチンの効果に影響するおそれもある。

ワクチンは「有効」か 世界に拡大

 ただ、ワクチンについては、ファイザー製の2回接種でインド型にも「有効だ」とする英イングランド公衆衛生庁の検証結果も発表されている。

 世界保健機関(WHO)は、感染力が増すといった恐れがあるものを「懸念される変異株(VOC)」に指定して、監視を強めている。

 これまで、英国型などがVOCに指定されていたが、11日付の疫学週報では、インド型が新たに追加された。感染が確認されたのは、25日までに、南極を除くすべての大陸の50以上の国・地域に及んでいる。

 感染研も12日、インド型を日本のVOCに指定した。

国内の水際対策は?

 水際対策はどうなっているのか。

 インドで新型コロナウイルスの感染が急拡大した4月以降、政府はインド型変異株に対する水際対策を段階的に強化してきた。

 4月28日、インドを変異株の流行国に指定。インドからの入国者に求める入国前後の検査回数を2回から3回に増やした。入国後2週間の待機は自宅などで行うことを求めていたが、このうち初めの3日間は検疫所が確保する宿泊施設での待機期間とした。

 インドの1日あたり新規感染者数が37万人を超えたころで、自民党からは「動きが遅い」(佐藤正久・党外交部会長)との厳しい指摘も出た。政府関係者は遅れの背景に「インド政府が変異株の流行を認めなかったこと」などを挙げた。

 インドでは連日40万人を超える新規感染者が出るようになり、5月7日には周辺国からの入国者も含め、検査回数を3回から4回にすることを決定。宿泊施設での待機も6日間にした。外務省幹部は潜伏期間を考慮したとし、「6日間には疫学的根拠がある」と自信を見せていた。だが、政府の対策分科会の尾身茂会長から「14日間に」といった発言も出たため、25日には、10日間まで延ばすと発表した。

 政府は全世界からの新規入国を原則として拒否。インドと隣国を含めた6カ国からは日本の在留資格がある外国人の再入国も原則として認めていない。

対策の鍵は検査

 今後はどうすればいいのか。

 変異株の国内での広がりを捉…

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