安保関連法違憲訴訟 宮崎も「棄却」 原告に落胆と憤り
平塚学
安全保障関連法は憲法に違反するとして宮崎県内の市民らが国に賠償を求めた裁判で、宮崎地裁は26日、原告側の訴えを全面的に退けた。「戦争に巻き込まれる」などと訴えてきた原告側からは失望と憤りの声が上がった。
「原告らの請求をいずれも棄却する」。古庄研裁判長が判決と理由の要旨を述べると、「不当だ!」との叫び声が上がった。判決後、原告らは地裁近くの県弁護士会館で報告集会と記者会見を開いた。
安倍晋三前首相の政権が2014年に憲法9条の解釈を変更し、集団的自衛権の行使が限定的に認められるように閣議決定。安保関連法案を国会に提出し、安保関連法は16年3月に施行された。原告はこの閣議決定と安保関連法の違憲性を主張してきた。
一方、判決は憲法判断を示さなかったが、「法律には解釈の余地があることは否めず、社会情勢等の変化を受けて変容していくこともありうる。憲法もその例外ではない」と言及した。
この点について、弁護団事務局長の松田幸子弁護士(65)は「時の政権が好きに憲法解釈ができると読める。非常に問題だ」と指摘。後藤好成弁護団長(73)も「現実に安保法制は法的効力を持っているのに、裁判所は『憲法違反』との訴えにまともに答えずに逃げた。憲法の精神に反している判決だ」と批判した。
原告団の「安保法制違憲訴訟みやざきの会」共同代表の前田裕司弁護士(72)は「安保関連法は立憲主義をないがしろにし、法の支配を揺るがしている。司法の存立基盤にかけて判断してほしいと期待していたが、完全に裏切られた。残念を超えて憤っている」と述べた。控訴については6月9日をめどに手続きを進めるとした。(平塚学)