土地規制法案、私権制限への懸念消えず あいまいな根拠

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小手川太朗、三輪さち子
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 自衛隊基地の周辺や国境離島などの土地の利用を規制する法案の審議が衆院で行われている。安全保障上の観点から、政府が特定の土地や建物の所有者を調査でき、土地売買に事前の届け出を求める内容だ。ただ、調査範囲や対象区域はあいまいで、与野党から私権制限への懸念が出ている。会期末が迫る中、与党は28日の委員会採決をめざすが、野党はさらなる審議を求めている。

 「土地の利用、取得により、安全保障上重要な施設の機能阻害行為が行われるリスクに対応することを目的として取りまとめた。土地の利用実態を十分に把握する法的枠組みがなく、取り返しがつかない事態となるおそれがある」。小此木八郎領土問題担当相は26日、衆院内閣委員会で、法案の意義をこう語った。

 きっかけは、外国資本が自衛隊基地周辺や国境離島の土地を購入していることへの不安の声だ。一定の規制の必要性については、多くの与野党が認めているが、問題は法案の中身だ。

 法案では、国内の自衛隊や米軍基地原発などの敷地の周囲1キロ以内の地域について、政府が「注視区域」に指定すると、土地の利用状況を調べ、施設の機能を阻害する行為に対して中止を勧告・命令できるようにする。特に重要な施設の周辺は「特別注視区域」とし、売買などの際に事前届け出も義務づける。

 調査は、内閣府に新設する部局が関係省庁と連携して行い、情報も一元的に管理する。政府は「思想信条にかかる情報収集は想定していない」と強調する。

 立憲民主党大西健介氏は「調査を名目にした組織ができて暴走する懸念をどう考えるか」と指摘したが、小此木氏は「通常の生活を送る住民や企業に負担が生じる可能性は小さい」と述べるにとどめた。

 同党の今井雅人氏は、集めた情報について「内閣情報調査室や公安調査庁に対し、情報提供することはないか」と質問。これに対し、内閣官房審議官は「法案の目的を達成するために必要と判断した場合は、関係行政機関の協力を得て、必要な分析をする」とし、「いかなる機関に協力を求める可能性があるかは調査の手の内に関する事項」として回答を避けた。

「機能を阻害する行為」のあいまいさ

 さらに野党が指摘したのは「機能を阻害する行為」のあいまいさだ。法案では、こうした行為に勧告や命令ができ、従わなければ刑事罰もある。

 野党側は、法案審議の段階で…

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