廃仏毀釈から150年、諏訪大社と寺院がタッグ

依光隆明
[PR]

 【長野】明治維新廃仏毀釈(きしゃく)で付属の寺院を破却された諏訪大社と、破却時に仏像を保護した近隣寺院が共同イベントで手を結ぶ。保護した仏像類を諏訪地域の各寺社で展示、観光客らに巡って見てもらうイベントで、来年秋に催される。26日には、参加する寺社の関係者が下諏訪町の諏訪大社を正式参拝。神様にかしわ手を打った僧侶の一人は「少しゾワゾワしました。感激です」。

 明治維新直後の約150年前、諏訪地域では廃仏毀釈(きしゃく)の嵐が吹き荒れた。地域の歴史を調べている「大昔調査会」理事長の高見俊樹さんによると、原因の一つは地元・高島藩の方針。幕末の藩主、諏訪忠誠が幕府の老中だったため、「維新政府ににらまれてはいけないと、まじめに政府の政策に協力した」と話す。

 特に被害を受けたのが諏訪大社に付属していた神宮寺。高見さんは「立派な五重塔もあったのに、完全に壊された。あれはほんとに惜しい」。神仏混交時代が長かったこともあり、神宮寺以外にも大社に付属する寺院はたくさんあった。それらが破却された際、近隣寺院が保護した仏像だけで「50以上ある」と高見さんはみる。

 今回は、寺院側が大社にアプローチして実現することになった。イベントは来年10月1日~11月27日の予定で、今のところ諏訪地域の19寺院と諏訪大社を含む3神社が参加することになっている。各寺社が仏像や彫刻、びょうぶを展示し、共通マップを作って観光客らに周遊見学してもらう。各寺社、諏訪市博物館、大昔調査会などが実行委員会方式で主催する。

 参加団体の一つで、諏訪の歴史を研究している「スワニミズム」事務局長の石埜三千穂さんは「諏訪大社下社の本地仏(神の本来の姿)である千手観音岡谷市の照光寺が展示します。非公開の秘仏です」。

 26日は、諏訪大社神楽殿に僧侶と神職が並んで正式参拝をした。玉串を捧げた照光寺の宮坂宥洪住職は「こういう形で(神社に)お参りさせていただいたのは生まれて初めて」。諏訪大社の北島和孝宮司が「きょうは(寺院に)乗っ取られる日ですね」と笑顔を見せると、宮坂住職は「明治維新から153年。このような試みは日本でも初めてではないでしょうか」。

 発案者の一人、諏訪市の仏法紹隆寺住職、岩崎宥全さんは「大社さんに理解していただいて実現した。150年ぶりの歴史的な試みです」と感慨深げ。場に加わった信州大副学長の渡辺匡一さんは「150年ぶりに神様と仏様が並ぶのはかけがえのないこと。このようなことは全国的にも例がないのでは」と話した。

 来秋のイベントの開始日前日と終了日翌日には、諏訪大社に参加寺院の僧侶が集まって読経をあげることになっている。(依光隆明)