知事選公開討論会に2氏、リニアで白熱

玉木祥子、和田翔太、黒田壮吉
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 任期満了に伴う知事選(6月3日告示)で、4選をめざす川勝平太氏(72)と、前国土交通副大臣の岩井茂樹氏(52)=自民推薦=の公開討論会が25日夜、静岡市清水区の清水テルサで開かれた。人口流出など県の課題について意見が交わされ、リニア中央新幹線静岡工区の問題では議論が白熱した。

 討論会が始まって約1時間。それまでは両者持論を述べるのみだったが、リニアがテーマとなった終盤、両者の発言が熱を帯びた。

 まず、岩井氏が「科学的な検証と技術的な担保が得られていない限りは、工事の着工を認めない方針はぶれない」と強調。「水資源の確保については、流域のみなさんの理解が到底得られるとは思えない。私は現在、工事の着工を認めない方針だ」と語った。

 一方の川勝氏は、トンネル工事に伴い、一定期間、県外に湧水(ゆうすい)が流出してしまう点を問題視。「元々、JRは全量戻しを約束していた。いまはまず掘ることが前提になっている」と指摘。JR側が示す最長20年かけて静岡側に戻す案について、「岩井さんは賛成なのか」と詰め寄った。

 岩井氏は「流域の皆さんの理解を得られないと認めたということにはならない」と明言を避けた。これに対し、川勝氏が「住民の理解は当然のこと。私は賛成すべきではないという立場だ」と強調。「今後の選択肢はどのようなものがあるのか」とただすと、岩井氏は「ルートの変更や工事の中止も含めて、毅然(きぜん)とした対応をとる」と踏み込んだ。

 川勝氏が「非常に重要な発言だ。自民党全体の責任で発言しているのか」と問うと、岩井氏は「状況をふまえて選択肢の中でそういうこともあるということだ」と語った。

 一方、県外への人口流出については、岩井氏は「静岡愛を醸成することが流出を食い止める」とした上で、「女性の存在が重要だ。女性が能力を発揮できる場所をつくる。(川勝県政では誕生していない)女性の副知事を誕生させたい」と話した。

 県人口は2007年12月の379万7333人をピークに減少を続け、今年4月現在の推計人口は360万2209人。20年の転出超過数は4395人で、都道府県別でみると全国で9番目に多かった。川勝氏は「(コロナで)東京への流出から、東京からの脱出に変わっている。30歳になったら静岡県に戻ってくるよう、情報提供をしていく」と語った。

 コロナ対策については、岩井氏は「国や市町との連携が重要だ。ワクチンを早く届けることに全力集中したい」と語った。川勝氏は検査体制の整備などを実績として挙げ、「危機のときにリーダーは変わってはならない」と継続の必要性を強調した。

 討論会は静岡青年会議所の主催で、司会は静岡産業大の小泉祐一郎教授(公共政策学)が務めた。両者にテーマごとに意見を述べてもらい、互いに質問し合うことも促した。約150人の聴衆が約1時間半、耳を傾けた。討論会の様子は6月1日からYouTubeで公開される予定。(玉木祥子、和田翔太、黒田壮吉