「新雪を踏む」脂汗と面白さ ピアニスト中村和枝さん
聞き手・岸善樹
今だからこそ、ひとり=ソロの時間を再評価してみる「ソロでいこう」企画。第2回は、現代音楽のピアニスト中村和枝さんです。同時代をともに生きる作曲家が生んだ作品に、ひとり向き合うのは、「新雪を踏んでいくおもしろさ」と語ります。
リレーおぴにおん「ソロでいこう」
もともとソロで演奏するのが好きです。というより、自分のことで必死です。アンサンブルだと「ご迷惑をかけないように」とか考えてしまう。ソロでは、ときに「私にしかできない音楽だ」と思う瞬間が来ます。作曲家の考えも「きっとこういうことだ」と解釈して、やりたいことをやってみたり。新雪を踏んでいくおもしろさです。
どうやってピアノを弾いていこうか。音大を卒業して、ぐるぐる考えました。例えばワルツを踊ったこともないのにショパンを弾いても、まがいものじゃないかと当時は思えたのです。
そんなときに出会ったのが同時代の作曲家の作品です。物語性とかよりも、楽譜を見てゼロから理解し、確定していく感覚。小さいときから算数やパズルが好きだったので、興味がつながったように思えました。知り合った作曲家の曲を弾く機会も増えました。
現代の作品ならではのおもし…