世界で1冊目の「はらぺこあおむし」 実は日本で製作

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松本紗知
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 絵本作家のエリック・カールさんが23日、91歳で亡くなった。代表作「はらぺこあおむし」は、70以上の言語に翻訳され、発行部数は5500万部を超える。世界中で愛されるこの名作の誕生には、日本の出版社が一役買っていた。

「Printed in Japan」

 1969年にアメリカで出版された原書の「The Very Hungry Caterpillar(はらぺこあおむし)」。この初版本の奥付には「Printed in Japan」と印刷されている。

 「くまさんくまさんなにみてるの?」(ビル・マーチン文、67年)で絵本デビューし、68年に「1、2、3どうぶつえんへ」を発表したカールさんが次に作ったのが「はらぺこあおむし」だった。

 あおむしが成長していく過程を豊かな色彩で描き、食べた跡を丸くくりぬくなど、趣向を凝らした革新的な絵本。しかし当時のアメリカでは、穴あきの仕掛けや、ページの幅がさまざまなこの本を、印刷・製本してくれる会社が見つからなかった。

 68年夏、休暇旅行で日本を訪れた担当編集者のアン・ベネデュースさんは、何人かの日本の出版関係者に絵本の試作品を見せて回った。その中の一人、偕成社の元社長・今村廣さん(故人)がこの絵本にほれこみ、付き合いのあった社のなかから、印刷・製本を引き受けてくれるところを見つけてきた。こうして、アメリカで出版された世界で最初の「はらぺこあおむし」は、日本で作られた。

 日本語版は、76年にもりひさしさんの訳で偕成社から刊行され、発行部数は現在430万部を超える。国内の絵本では「いないいないばあ」「ぐりとぐら」に次ぐ3番目、国内の翻訳絵本の中では最も売れている。(トーハン「ミリオンぶっく2021」調べ)

街路樹や電柱にも注目

 偕成社の現社長で、廣さんの…

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