第11回宮崎ナウシカへ高畑かぐや姫のアンチテーゼ 宮崎哲弥

有料会員記事

太田啓之
写真・図版
コロナ下で読み解く 風の谷のナウシカ
[PR]

 宮崎駿監督の傑作漫画『風の谷のナウシカ』を徹底的に読み込む連載企画、今回は評論家の宮崎哲弥さんが思想・哲学の面から『ナウシカ』に迫ります。劇中の対話からうかがえる「神話的性格」、ナウシカと釈迦の出自の類似性、高畑勲監督の「かぐや姫の物語」との対比など、これまでに誰も聞いたことのない、目から鱗(うろこ)が落ちる分析の連続です!

ナウシカに看てとれる「神話」の要素

 ――『風の谷のナウシカ』という作品を、日本の文化史の中でどう位置づけますか。

 「歴史的にいえば、コミック版の『風の谷のナウシカ』の連載開始は1982年1月。劇場用アニメーション版の公開が84年3月ですね。この日付と『ナウシカ』の底流に流れる思想とは無縁ではあり得ません。つまりポストモダンという言葉=概念が流布する以前の、アンチモダンの思潮の反映が色濃く認められるということです」

 「コミック版とアニメ版の異同がよく取り沙汰されますが、大きな流れにおいて、近代主義への批判が込められているという点で共通しています。そしてこの種の反近代主義は、すでに70年代半ば過ぎからサブカルチャーを中心に広がっていました。『ナウシカ』はかかる文化的コンテキストを追い手として、当時はまだまだマイナーだったアニメというジャンルに、大きな飛躍をもたらすものと期待され世に出たのです」

 「一方でこの作品は、その物…

この記事は有料会員記事です。残り6120文字有料会員になると続きをお読みいただけます。