五輪開催めぐるスポーツ記者の葛藤 稲垣康介の多事奏論

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 朝日新聞は「社説」で今夏の東京五輪の中止を決断するよう菅義偉首相に求めた。1面コラム「天声人語」も中止を促す。

 世論調査では国民の大半が今夏の開催を望んでいない。「ワクチン接種後進国」だから新型コロナウイルスの感染が広がるリスクを踏まえたら、自然な思いだろう。

 東京では美術館、映画館は休館を強いられ、飲食店はお酒を出せずに時短営業を求められている。そんな我慢を強いる一方、感染対策費で国と東京都から960億円も出る祭典に、共感は広がらない。

 スポーツ記者の私は、日増しに悩みと葛藤が強まっている。中止の「Xデー」に備えた頭の体操をしつつ、同時並行で本番に備えた取材を進めている。ニュース番組のキャスターがコロナ禍を深刻そうに伝えた後、別のキャスターが「続いてスポーツです!」と一転、明るいトーンで声を張る。あの違和感を一人で演じる気分だ。

 今週、フェンシングの佐藤希…

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