遅くて読まれない記事の価値 「ロングテール」と輪転機

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奥山晶二郎
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 築地にある朝日新聞東京本社の地下には輪転機がある。

メディア空間考 奥山晶二郎(withnews編集長)

 大きな音とともに回り出すその姿は圧巻だ。輪転機には電光表示のメーターが設置されていて、新聞が刷り上がっていくのとともに、その数字が勢いよく増えていく。もう後戻りはできない。記者や編集者の気持ちを想像して、手汗が出てしまう。

 ウェブメディアの担当になって10年以上経つが、私は時々、一人で地下に下りて行き、輪転機を眺めては情報を発信することの重さをかみしめている。

 この地下空間を支配するのが締め切り時間だ。朝刊夕刊の締め切りに向けて、総力を結集させる。そんな紙時代の締め切りへの感覚を一変させたのがデジタルだ。輪転機をまわすことなく発信できてしまう。その結果、24時間365日が締め切りという状態になった。

 先日、星野源さんと新垣結衣さんの結婚発表のニュースが駆け巡った。

 こういう時、チェックしてしまうのが各メディアのタイムスタンプだ。一番速かったメディアにたくさんのアクセスが集中するからだ。

 結果、「1等賞」だったメディアの記事には、みるみるコメントの数が伸びていった。5分足らずで5千件を超えるという前代未聞の勢いだった。さぞかしメディア側のサーバーはうれしい悲鳴を上げていたことだろう。

 一方、その背後で悔しがっている人たちがいる。

 それは「2等賞以下」のメディアだ。その、わずか数分の差がアクセスの数を天と地ほどにわけてしまう。

 記事の中身を比べてみる。正…

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