聖火リレー、県内で始まる

安藤仙一朗、鈴木洋和
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 東京五輪聖火リレーが27日、滋賀県内で始まった。午前中はあいにくの雨に見舞われたが、高島市から大津市まで9市町をめぐり、計95人のランナーが無事に聖火をつないだ。28日は、甲賀市を出発して長浜市までの10市町を継走する。(安藤仙一朗、鈴木洋和)

 午前9時、高島市のマキノピックランドで出発式が始まった。感染対策のため無観客。演奏や合唱は中止になったが、県立高島高校吹奏楽部が録音した曲が流された。

 三日月大造知事は「人類が経験したことのない困難だからこそ、多くの方の心に希望の光をつなぎたい」とあいさつした。

 続いて、第1走者のミュージシャン西川貴教さん(50)が、京都府から受け継いだ聖火をトーチに移してスタートした。大粒の雨が降る中だったが、西川さんは笑顔で手を振りながらリレーした。「一人でも多くの方に勇気や元気を届けたいと思って走った。あっという間だったが、聖火をつなげてホッとしている」と話した。

 西川さんは昨年、肉体美を競うコンテストに出場して優勝も果たした。トーチの重さを報道陣に問われると、「全国の皆さんの思いを感じ、高く上げるのがたいへんだった。筋肉は大事だと思いました」と答え、笑いを誘った。

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 大津市守山市を結ぶ琵琶湖大橋では、比叡山高校(大津市)の1年島田湧都(ゆうと)さん=守山市在住=が自転車に乗って聖火をつないだ。橋の上に観客が集まり、島田さんは自転車をこぎながら、ときおり笑顔で手を振っていた。

 島田さんによると、聖火ランナーに応募して選ばれた後、「自転車で走ってみないか」と声をかけられた。陸上競技をしているのでとても驚いた。しかし、聖火リレーが実施できるのは、たくさんの人たちの努力があると思い、応じることにした。

 走り終えた島田さんは「雨で景色はよく見えなかった」。ただ、琵琶湖大橋はよく通るので心は落ち着いていたという。「トーチが海外から色んな人の思いを乗せて運ばれてきて、そこに自分の思いも乗って進んでいくんだと思ったら、少し感動的な気持ちになった」と話した。

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 降り続いていた雨が上がった。湖南市には夕方に聖火がきた。沿道にマスク姿の人が集まった。

 市内最後の6人目の走者を務めたのは、同市出身で元ボクシングWBC世界バンタム級王者の山中慎介さん(38)。横断幕やタオルを掲げる人もおり、現役時代に「神の左」とたたえられた左腕をあげ、にこやかに応じていた。

 山中さんは「生まれ育った湖南市でゆっくり走れて、楽しい時間だった」。最初の50メートルくらいは照れくさかったが、「パレードのような雰囲気で、試合でリングに上がる時を思い出した」と話した。

 コロナ禍の中で五輪に向けて準備を続けるアスリートに対し、エールも送った。「難しいと思うが、目標を忘れず、モチベーションを保ってほしい」と言葉を選びながら語った。

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 栗東市の第1走者は、日本中央競馬会(JRA)の騎手、武豊さん(52)が務めた。市民体育館の周辺を走り、次の走者にトーチをつないだ。

 歴代最多勝の武さんは現在、JRAの栗東トレーニングセンターを本拠地にしている。「栗東市で子どものころから育ったので、今日は懐かしい顔にたくさん会えた」と顔をほころばせた。

 東京五輪の開催については、「難しい問題がたくさんあると思いますが、私個人としてはついアスリートの気持ちを考えるので、なんとか良い形で成功すればうれしい」と話した。

 30日には日本ダービーが控えている。「(聖火リレーも)出来れば馬に乗ってやりたかった」と述べ、報道陣を笑わせた。「ダービーは頂点のレース。思いっきり走って金メダルを取りたい」