モヤる研究者へ、先達が語ります 神戸の会社が記事配信

岩本修弥
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 【兵庫】第一線で活躍する教授らが、研究の魅力や失敗談を語り尽くす。そんなインタビューのネット配信を始めた会社がある。コロナ禍もあって先行きが見えずモヤモヤしている若手研究者を励まそうと、神戸市西区の検査器具の開発会社「深江化成」が企画した。

 記事は、配信ウェブサイト「note(ノート)」内の同社のページ(https://note.com/watson_japan別ウインドウで開きます)で掲載している。

 「女性研究者のロールモデルがいなくて、どうしていいかわからなかった」

 高分子化学が専門の神戸大の佐藤春実教授(52)は、25日配信の記事の中で、若手時代の苦労を振り返った。

 出産と子育てで研究に携われずにいたが、関西学院大の研究室へ送った1通のメールが転機に。女性の研究者を応援する先生と出会い、道が開けたという。「自分のポリシーや大切にしているものを貫いて」と佐藤教授はエールを送る。

 インタビュー企画のきっかけは、ある若手社員の提案だった。

 深江化成は、新型コロナウイルス感染の検査にも使われる検体採取器具「ピペット」などを手掛ける。販売促進課の土原翔吾さん(30)は、自社の製品を若手研究者や学生に知ってもらうにはどうしたら良いか悩んでいた。

 土原さんも、かつては神戸大発達科学部で「環境にやさしいプラスチック」をテーマに研究していた。

 人と直接関わる仕事に就きたいと思い、理科の中学教諭などを経て今の職場に。ピペットは学生時代からなじみある器具だった。コロナ禍で苦心する企業が多い中、深江化成はピペットの受注が増え、業績は上向き。社内からは「こんな時だからこそ、研究者に何か恩返しができないか」と声が上がっていた。

 そこで土原さんが考えたのが、「未来の研究者」を後押しすることだった。

 SNSには、将来に不安を持った学生のモヤモヤが数多くつぶやかれている。先輩研究者の「泥臭い部分」や「失敗した話」を紹介し、経験を共有することで勇気づけられるのではと思った。

 土原さんがみずからおもむくインタビューでは、あえてかっこ悪い話も引き出すように質問した。記事には「1年契約の繰り返しを9回半し、不安定な生活だった」「家を買ってしまい、仕事を探すのが難しかった」などのエピソードが並ぶ。

 「みんなが失敗した経験がある、ということを知ってもらい、一人でも研究者が増えて欲しい」

 記事は無料で、月2回の更新を予定している。(岩本修弥)