光る自由かつ大胆な筆致 重度のダウン症男性が初の個展

小浦雅和
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 ダウン症で重い知的障害があり、書と絵画の創作活動を続けている福岡市東区の田中彰悟さん(24)が、6月1~30日に同区香椎1丁目のカフェ「香椎参道Nanの木」で初の個展を開く。抽象的な作品はダイナミックでエネルギッシュ。父親の伸一さん(51)に支えられ、自由な作風が花開いた。

 彰悟さんは、ダウン症に加え最重度知的障害、呼吸器、言語の障害がある。文字は書けず、話もできない。生後、肺炎とともに気管が閉じて呼吸ができなくなり、手術を重ねた。現在は気管に入れたカニューレと呼ばれる管で呼吸している。2時間ごとにたんの吸い出しが必要だ。

 伸一さんは勤めていた銀行をやめ、コンサルタント業を営むかたわら、彰悟さんとの生活をブログに書いたり、各地で講演をしたりしながら彰悟さんを支えている。

 彰悟さんが創作活動を始めたのは、特別支援学校小学部にいた時。家に持ち帰った書の作品は、自由で楽しさにあふれ、伸一さんは感動した。中学部では書道の時間がなかったので、2年生の2010年6月から障害者支援施設が運営する書道教室に月1回通い始めた。そこには絵画教室もあり、14年4月からは書と絵画で計月3回通っている。

 文字や物の形を表現することはできない。筆を振り回したり、たたいて押しつけたり。墨や絵の具が周辺に飛び散ることも多く、伸一さんが事前に周囲が汚れないよう覆いをしたり、掃除をしたりしている。

 ダイナミックで自由な作風からは、飾らないありのままの生き方が伝わる。そんな作品の数々を多くの人に見てもらいたいと、初の個展開催を決めた。

 3千点にも及ぶ作品から15点ほどを選んだ。書と絵画のほかオブジェもある。伸一さんは「何物にもとらわれない自由な作品を通じ、多様性についても考えるきっかけになれば」と話している。

 香椎参道Nanの木(092・201・2201)の営業は午前10時~午後6時。第1、3木曜は休み。(小浦雅和)