「多くの人に遺跡に触れてほしい」 活動牽引、岡田さん

土肥修一 渡部耕平、吉備彩日
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 【青森】三内丸山遺跡発掘、その価値を広める活動、世界遺産登録へ――。縄文遺跡群の世界文化遺産への登録勧告から一夜明けた27日、この道一筋で生きてきた県世界文化遺産登録推進室専門監の岡田康博さん(63)は「17遺跡の価値を高く評価してもらった。感謝したい」と喜びを語った。

 1992~94年に行われた発掘調査で責任者を務めた。県が遺跡の保存と公開を決めると、専従の担当者に就任。「縄文に触れる機会を持てる場所になってほしい」と、訪れた見学者らに経緯や意味を説明し、ボランティアガイド向けマニュアルやビデオも作り、指導にあたった。

 毎年30万人ほどが訪れる遺跡となったが、世界遺産への道のりは険しかった。「縄文の遺跡は他の地域にもある。なぜ北海道・北東北なのか」。5年続けて国内推薦候補を見送られ、推薦書は100回以上書き直した。狩猟・採集・漁労による定住が始まり、成熟した過程が分かる――。特徴や価値を訴え続けた。「推薦が遅れた分、それぞれの遺跡でしっかり準備ができ、高い評価につながった。幸運だった」

 新たにやるべきことができた。次代の育成だ。

 3年間の定年延長を終えたが、4月から専門監として県に残る。発掘や保全を担う後進を育てるほか、「たくさんの人に遺跡に触れてもらいたい。歴史や縄文の研究をやってみたいという子どもたちが出てくれば」と期待を寄せる。

 考古学に興味を持ったのは小学5年生のとき。社会科の教員だった父郁雄さんに誘われ、地元の弘前市内の発掘現場に行ったのがきっかけだ。自分の手で新たな発見ができるおもしろさに魅了され、夏休みは毎日、真っ黒に日焼けをしながら現場に通った。

 考古学へのきっかけを与えてくれた郁雄さんは脳出血を患い、2014年に亡くなった。なかなか推薦が決まらず、郁雄さんから「もうだめなんじゃないのか」と言われたときは辛(つら)かったという。「ようやく良い報告ができる」と喜んだ。(土肥修一)

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 世界文化遺産への「登録」勧告から一夜明けた27日、県内各地でも喜びの声があがった。県庁で会見した三村申吾知事は「満点に近いと言っていい評価をもらった」。青森市三内丸山遺跡センターでは、ガイドに励むボランティア団体「三内丸山応援隊」の会員ら約20人が集まった。代表理事の一町田工(いっちょうだたくみ)さん(83)は「待ちに待った一報。17遺跡すべてが勧告されたことを喜びたい。応援隊の責任も重大になるが、頑張っていきたい」と語った。

 亀ケ岡遺跡と田小屋野貝塚があるつがる市でも、JR木造駅にある「遮光器土偶」のオブジェ前にボランティアらが集った。NPO法人つがる縄文の会の川嶋大史理事長は「登録がゴールではなくスタート」。ガイドを務める小山内誠さん(73)は「これからは亀ケ岡遺跡は世界の宝。縄文時代装飾品づくりを体験できるようにするなど、工夫しながらPRしていきたい」と意気込んだ。(渡部耕平、吉備彩日)