大河ドラマ館予算案否決 市長と議会対立で交付金白紙に

南島信也
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 静岡県伊豆の国市議会は27日の臨時議会で、来年放映のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に合わせた開設を目指している「大河ドラマ館」の関連事業費1億3500万円の補正予算案を否決した。大河ドラマ館をめぐっては、設置場所と事業規模などについて市と議会が対立し、混乱が続いていた。4月の市長選で初当選した山下正行市長による新体制下でも否決され、混迷の度合いを深めている。

 補正予算案は、市韮山文化センター(韮山時代劇場)へのドラマ館設置を前提とし、すでに交付が内示されている今年度分の国の地方創生推進交付金約4800万円も含まれていた。6月4日までの可決が必要とされるため、この交付金は白紙となる可能性が濃厚となった。

 交付金申請について、市は当初、3月末までに予算案が可決される必要があると説明。事業費を大幅に縮小した2100万円の修正案が3月30日の議会で可決された。ところが、申請段階では議決は必要条件ではなく、その期限も6月4日までだったことがわかり、小野登志子市長(当時)ら市幹部が了承のうえ、3月31日に内閣府に交付金を申請していた。

 こうした経緯が議会に報告されたのは今月20日の全員協議会だったため、議会側は市に対する不信感を強めていた。

 27日の議会冒頭、山下市長はこれまでの市の説明の誤りを認め、「議会に対し失礼であっただけでなく、(手続きに)大きな瑕疵(かし)があった」と謝罪。新型コロナウイルスにより大きな打撃を受けている主要産業の観光業復活の起爆剤とするために、大河ドラマ館設置に理解を求めた。しかし、議会では交付金申請のプロセスが不透明なことや報告が遅れたことに対する批判が相次いだ。

 議会での否決後、山下市長は記者団に対し「市が不誠実であったことは間違いないが、プロセスに縛られて本質を見失っている気がする。ご理解いただけなかったのは残念だ」と語った。その上で6月の定例議会で新たな案を提出する考えを示した。(南島信也)