空腹時には「食べられるメモ帳」を 印刷会社の知恵結集

有料会員記事

安藤仙一朗
[PR]

 会議中や授業中、空腹でおなかが鳴る恥ずかしさを何とかしたい――。こんな思いをもとに、滋賀県竜王町の印刷会社「アインズ」が、こっそり食べられるメモ帳を開発した。初めは新入社員が冗談半分に企画したが、反響が大きく商品化した。4月に販売を始めると、思わぬ使い方をする人も出てきたという。

 開発したのは、同社の宝田(ほうだ)萌花さん(22)と村上夏奈子さん(25)。2年前、同期で入社したばかりのころ、全国の印刷会社がアイデアを出し合うプロジェクト「大喜利(おおぎり)印刷」に誘われたのがきっかけだった。

 お題は、SNSのつぶやきを参考に、世の中の悩みを解決すること。2人は片っ端からツイッターを検索すると、「授業中、空腹でおなかが鳴って恥ずかしい」という投稿が目に入った。2人にとっても、身に覚えがある悩みだった。

最中の皮のような味わい

 解決策を探していると、食べられる紙「ウエハーペーパー」の存在を知った。お菓子の飾り付けなどに使われているといい、輸入品を扱う国内の会社から取り寄せた。ジャガイモのでんぷん粉にオリーブ油と水を混ぜたもの。もなかの皮のような味わいがあった。

 おなかの音が鳴らなくなるよう、こそっと食べられ、メモするのにもちょうど良い大きさ(縦9センチ、横7センチ)に加工。水にクエン酸や着色料を混ぜ、食べられるインクを使うペンを付け、メモ帳とセットにした。恥ずかしい音を消す共通点から、トイレ用の擬音装置をもじって「kamihime(カミヒメ)」と名付け、プレゼンした。

 すると、動画投稿サイトのユーチューブで話題に。「面白い」「実際に作ってほしい」など多くの反響が寄せられた。作品公開だけのつもりだったが、商品化することにした。

 よりおいしくメモ帳を食べてもらえるように、紙に香料を付ける技術を活用。メモ帳を入れる紙の箱に、手でこすると香りが漂うようにした。数十種類の香料を試した結果、バニラとイチゴ、オレンジ、カレーの4種類の香りを選んだ。

 自社のSNSを使って、デスクワーク中やカフェでの勉強中といった日常使いの使用例を動画で公開。4月1日に限定1千個で販売を始めると、3週間足らずで500個超が売れた。

 思いがけない「マニアック」な使用例も報告されている。大事なメモを食べて隠す「スパイ」をまねする人や、好きなキャラクターの名前を書いて食べて楽しむ人もいるという。

 20枚入りで2千円(税込み)。好評のため、増産を決めた。同社の通販サイト(http://www.eins-eco.shop/別ウインドウで開きます)から購入できる。

 宝田さんは「入社後の自分たちの思いが詰まった『同期』のような商品」。村上さんは「おなかが鳴る場面が、クスッと笑える場面になればうれしい」とPRしている。(安藤仙一朗)

名画に浸れる入浴剤、はがせるテーブル… ツイッターが端緒

 印刷業界はデジタル化に伴い、変革期を迎えている。大喜利印刷は、全国約4200社の印刷会社が加盟する「全日本印刷工業組合連合会」が、印刷産業の魅力を若年層にアピールしようと企画したプロジェクトだ。ツイッターのつぶやきを落語の大喜利のお題に見立て、印刷会社ならではの技術力で解決をめざす。

 2018年に始めたところ…

この記事は有料会員記事です。残り614文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る!】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら