遠州と不昧、大名茶の世界を楽しむ 中之島香雪美術館

編集委員・中村俊介
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 茶の湯は近世大名にとっても欠かせない教養やたしなみだった。中之島香雪美術館大阪市北区)の企画展「遠州・不昧(ふまい)と大名家の茶」は、小堀遠州と松平不昧という2大巨頭を軸に、「大名茶」の広く奥深い世界をたどる。

 多彩な茶道具は、その持ち主の好みや個性を映し出すからおもしろい。利休が確立した「侘(わ)び茶」に対し、将軍家指南役として牽引(けんいん)した古田織部が求めたのは大胆なゆがみと奇抜さ。が、弟子の小堀遠州はむしろ端正で洗練された「綺麗(きれい)さび」を旨とした。

 中国吉州窯の梅花天目は、そんな遠州好みを反映した一品だ。複雑な色合いの見込みに散らされたいくつもの梅の花は、まるで夕映えの海に漂う花びらのよう。薄くシャープな高取焼の茶碗(ちゃわん)もまた、しかり。遠州の手になる唐竹花入は荒々しくも気品が漂う。

 その遠州に憧れたのが出雲松江藩の松平不昧だった。膨大な茶道具を分類・体系化した学者肌の大名で、愛蔵品を網羅する「雲州蔵帳」や諸大名の名物を集成した「古今名物類聚(るいじゅう)」を残した。そんな不昧ゆかりの品々を眺めるとき、脈々と流れるふたりの美意識や価値観を実感できるだろう。

 京に隠棲(いんせい)した金森宗和が愛した野々村仁清の作品も。色絵忍草文茶碗は抽象的な緑釉(ゆう)の広がりと、植物の繊細な描写とのコントラストが印象的で、表面をさらにうっすらと覆う半透明の釉が立体感を醸す逸品だ。中国伝来の唐物茶壺(ちゃつぼ)「小天狗(こてんぐ)」も強烈な存在感を放つ。

 6月13日まで。一般900円。(編集委員・中村俊介