ムシ嫌い助長する都会の生活 カギは「室内」と「誤解」

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小坪遊
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 6月4日は「虫の日」。6を「む」、4を「し」と読む語呂合わせから、様々な人や団体が呼びかけてきた。生き物好きの記者が、「虫」と人の関係をめぐる最近の興味深い研究を紹介します。小坪遊

 虫の多くは無害なのに、虫嫌いの人がいるのはなぜなのか。東京大学の研究チームが5月に国際誌(https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2021.146229別ウインドウで開きます)に発表した論文は、「進化心理学」の視点から虫嫌いの謎に迫る研究成果だ。約1万3千人をオンラインで調査した結果をもとに、虫嫌いを緩和するヒントも唱えている。

 チームは、都市部や先進国で虫嫌いの人が多い傾向が強いことに着目し、その理由を進化心理学で解明しようと試みた。現代の人間の思考や感情といった心理メカニズムの多くが、人間の祖先が出会った出来事によって形づくられていったと考える学問だ。

 そこで①昔は室内に侵入する虫は感染症の病原体を運ぶリスクがあったため、嫌がられた②危険な虫を怖がらないよりも、無害な虫を怖がる方が「誤解」のコストが低く、虫を嫌がる方が合理的、という二つの要因から、都市部では虫嫌いが助長されやすいとの仮説を立てた。

 20~70代の男女計1万3千人を対象に、虫を見かける場所や、現在と幼少期の居住地の都市化の度合い、昆虫に関する知識などをインターネットで調査。合わせて、カブトムシやチョウ、テントウムシ、ゴキブリなどの昆虫とクモなど、いわゆる「虫」13種を屋外の背景と、室内の背景で撮影した写真をみてもらい、嫌悪感をたずねた。

 その結果、都市でも生きられる、ゴキブリやハエなどは、室内で見られる頻度が高かった。同じ虫でも、背景が室内の画像は、屋外の画像よりも強い嫌悪感をもたらした。さらに、虫に関する知識がある人には、嫌な虫と平気な虫がいるのに対し、知識がない人は、どんな虫も嫌悪する傾向があった。いずれも仮説を支持する結果だった。

記事の後半では、チームが提案する虫嫌い克服のヒントや特に嫌がられた虫も紹介。虫が「無視」されている現状を調べた、別の研究なども取り上げています。

 ちなみに、13種の中で最も…

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