第3回コロナが奪う心のよりどころ 「いばしょ」作った大学生
仕事を失った。育児に自信が持てない。心にたまった悩みや苦しみを吐き出したくても、誰にも会いに行けない。コロナ禍は「孤独」を抱える人々の「心のよりどころ」も奪っています。健康に悪影響を及ぼすだけでなく、重大な経済損失を招くとされる「孤独」に、どうやって歯止めを掛けるのか。英国に続いて日本でも、政府が対策に乗り出しました。(GLOBE編集部・太田航)
頼る場求め 相次ぐ悩み相談
「母親はパートで働いていたのですが、コロナ禍でクビになりました」
「コロナ禍で子育てをしています。孤独感について相談にのってもらえたら」
コロナ禍の経済的苦境や、外出を控える生活で孤独感を強める人たちが次々と悩み事を打ち明ける。ここは、NPO「あなたのいばしょ」(東京都)が運営する24時間対応のチャット相談窓口(https://talkme.jp/chat/)だ。昨年3月の開設以来、利用者は、1日250人を超える日が続く。女性や20代以下の若者らを中心に、1年間で計4万人を超えた。
失業や育児・家事のストレス、苦悩する親から受ける虐待、進学の不安――。相談内容が示すのは、仕事、家庭、学校など、さまざまな場所でコロナ禍が人々の「心のよりどころ」を奪っている現実だ。NPOを設立した慶応大4年の大空幸星さん(22)は特に、親や家庭の影響を強く受ける子どもの孤独を気にかける。「学校やバイト先にあった『逃げ場』を失った子がいる。友人にも気軽に会えなくなった。これまで頼れる人がいた人にも、孤独感が広がっている」
コロナ禍で「孤独」が新たな社会問題になっています。孤独との向き合い方を国内外で取材してきた記者が、その現状に迫ります。連載第3回は支援のあり方をさぐります。
そう語る大空さんは、ひとり…