危険な道路横断にレッドカード 警察が導入、もらうと…

遠藤美波
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 無理に道路を渡ろうとする人には「レッドカード」。道路横断中の事故をなくそうと、兵庫県警が6月1日から、こんな取り組みを始める。サッカーの一発退場のような強制力はないが、歩行者に安全を意識づける狙いがある。

 交付するのは、歩行者指導警告書。視覚にも訴えようと、下半分を濃い赤色にした。県警によると、歩行者への警告書の交付は全国でも珍しいという。

 警察官が注意・警告したにもかかわらず、危険な道路横断を続けた歩行者が対象となる。違反の日時と内容、名前を記入し、上半分の白色部分は警察署に1年間保管し、赤色の部分は切り取って手渡す。

 レッドカードを交付されただけでは、罰則はない。ただ道路交通法は、近くにあるのに横断歩道を渡らずに横切ることや、車の直前・直後に横断することなどを禁じており、2万円以下の罰金または科料となる。交付が重なれば、県警は摘発も辞さないという。

 歩行者の事故防止に力を入れるのは、兵庫県西宮市で2018年1月、当時5歳の男児が乗用車にはねられて亡くなった事故がきっかけだ。

 男児は横断歩道を渡っていたという。県警は「きちんと交通ルールを守った子が亡くなることを防ぎたい」と、まずドライバーの取り締まりを強化。横断歩道を渡ろうとする歩行者がいるのに停止しないなどの横断歩行者妨害の検挙は、事故前の17年は4千件足らずだったが、昨年は1万5千件余りと約4倍になった。

 その効果もあってか、信号機のない横断歩道で歩行者がいる時に一時停止する車は増えたようだ。日本自動車連盟(JAF)によると、事故があった18年は兵庫県の一時停車率は11・1%だったが、昨年は57・1%と大幅に改善。長野県(72・4%)に次ぐ全国2位だった。

 それでも、道路横断中の死亡事故が絶えない。県警によると、昨年は横断中にはねられて25人が亡くなった。うち6割以上の16人が横断歩道以外の場所を渡っていたという。

 今度は歩行者側の安全意識を高めるため、レッドカードの導入を決めた。1万枚を発行し、県内46署に配布。6月1日から10日間は強化期間として、各署員が街頭で目を光らせる。(遠藤美波)