青森で聖火リレーやイベント、一部中止

新型コロナウイルス

吉備彩日 林義則、安田琢典
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 6月10、11日に予定されていた東京五輪聖火リレーについて、三村申吾知事は28日、県内の新型コロナウイルス感染拡大状況を踏まえ、公道での聖火ランナーの走行を1日目と、2日目のむつ市内の区間で中止すると決めた。実施2週間前の判断に、理解を示す声や残念がる声が上がった。(吉備彩日)

 14市町村を約180人のランナーが走る予定だった青森県聖火リレー。県実行委は、1日目に予定されていた弘前市青森市の全ての区間で公道での走行と、各市町村での出発式や催しを中止。2日目はスタート地点であるむつ市内の公道での走行と出発式を中止する一方、その後に続く十和田市八戸市の区間は予定通り、公道での走行と催しを実施する。ただ2日目の走行についても、1週間前までに感染状況を踏まえ、実施の可否を判断するという。

 県実行委は1日目で走行できなくなったランナーのために10日、青森市の青い海公園で、関係者のみで代替セレモニーを開催する方針。秋田県から引き受けた聖火の点火式もそこで行うという。むつ市で走る予定だったランナーについても、1日目の代替セレモニーへの参加など、何らかの救済措置を調整する。

 三村知事は「計画通りにリレーを実施できないことは残念ですが、聖火を無事に北海道につなげていきたい」と話した。

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 一部区間のみの実施という判断になった理由について、県実行委は各市町村から意向を聴き取ったほか、感染拡大状況を踏まえたという。

 1日目について、公道での開催を希望する自治体もあったが、「感染状況や医療態勢が青森、津軽圏域では厳しい状況が続いている」として、中止を判断。2日目については、中止を希望したむつ市以外の三八上北圏域は感染が比較的抑え込まれているという判断に加え、「復興五輪というコンセプトから、東日本大震災の被災自治体、県民が復興に向かって努力する姿をみてほしいとの思いでルートを設定していることを踏まえた」と説明した。

 朝日新聞の取材では、県実行委の意見聴取に対し、中止を希望したのはむつ、五所川原、平川の3市。むつ市は「参加者、観覧者の安全を確保できない」、五所川原市は「医療が逼迫(ひっぱく)している」、つがる市地域医療を共有する五所川原市と足並みをそろえるとしており、4市の意向は全面的に反映される形となった。

 一方、公道でのリレー実施を希望したのは、階上町、八戸市弘前市、西目屋村、黒石市、今別町。ほかの自治体は「県に判断してほしい」と委ねていた。

 今回の決定について、五所川原市の佐々木孝昌市長は「コロナ下で立佞武多を中止したにもかかわらず、聖火リレーを開催するのは相反すると考え、県に中止を申し入れた」と述べ、判断を評価。むつ市の宮下宗一郎市長は「今は聖火よりも市民の命の火を守ることが大事」と話し、市内を走る予定だったランナーについて、「1日目と同じ救済措置が図られるようにしてほしい」と県に注文した。

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 小学校から大学まで陸上の短距離選手だった五所川原市中村蒼太さん(22)は「人生の半分、スポーツに打ち込んだ者として五輪に関わりたい」と聖火ランナーに手を挙げた。市内で参加予定だったリレー中止の知らせに「リレー開催に否定的な声も多かった。残念ですが、今の状況では仕方がない」と話した。

 むつ市内を走る予定だった佐井村の石塚育子さん(51)も公道でのリレー中止について、「コロナ禍のいま、中止は致し方ない」と言う。聖火が下北半島にやって来ると聞いたときは、「とにかくびっくりした」。そこで「自分がつなぐことができれば」と考え、応募したという。

 周囲には将来の五輪選手をめざしてスポーツに励む子どもたちがいるといい、「五輪に触れる貴重な機会だっただけに残念です」。

 カヌー競技で3大会連続の五輪出場経験を持ち、西目屋村でカヌーによるリレーを予定していた矢沢一輝さん(32)は「人命を危険にさらしてまでやることではないと思う」と理解を示す。五輪の開催については「スポーツは落ち着いた環境でやるべきもの。そういう状況になることを願っています」と話した。(林義則、安田琢典)

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