聖火リレー、県内全日程終わる

安藤仙一朗、鈴木洋和
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 東京五輪聖火リレーは28日、甲賀市から長浜市まで10市町をつなぎ、滋賀県内の全日程を終えた。この日は天候に恵まれ、計83人の走者がリレーした。聖火は29日から福井県に引き継がれる。(安藤仙一朗、鈴木洋和)

明るい未来 信じて パラトライアスロン選手 宇田秀生さん

 午前9時2分、聖火は青空の下、甲賀市の「水口スポーツの森陸上競技場」を出発した。

 トップバッターは、同市信楽町出身のパラトライアスロン選手、宇田秀生さん(34)。公募に応じた市内の小学6年生20人と一緒に走り、晴れやかな表情で競技場を半周した。

 サッカーに明け暮れた学生時代、この競技場を利用していた。毎日のように走っていたという、思い出の場所だ。リレー後、「ゆっくり走るのも良いものですね」と笑った。

 26歳のときに仕事中の事故で右肩から先を切断。リハビリで水泳を始め、トライアスロンに転向した。世界トップレベルの実力で、東京パラリンピックの出場を目指している。

 「コロナ禍で大変だが、明るい未来を信じて団結して乗り越えようという思いで走りました」

待望の大役 自信に 「最年少」愛知中2年 士野向日葵さん

 初日から100人余りがつないできた聖火は、午後2時ごろ愛荘町に。先陣を切ったのは、聖火ランナーに選ばれた2019年、全国最年少と発表された中学生ランナーだ。

 愛知(えち)中学校2年生の士野向日葵(ひまわり)さん(13)。リレー応募の条件は、「2008年4月1日以前に生まれた人」だった。士野さんの誕生日は、まさにその日。「今回しかない」と思い、応募したという。

 初めは緊張した様子だった。しかし、沿道には応援に来た家族の姿もあり、時折笑顔もでるようになった。

 待ちに待った聖火リレーだ。1年延期が決まったときは、楽しみにしていただけにショックだった。それでも、身長が伸びただけ自信を持ってトーチを運べる、と気持ちを切り替えた。コースの下見も済ませ、準備はばっちりだった。

 「やりたいと思ったことは、これからも実践していきたい」。大役を務め、また一つ自信を深めた。

一瞬のうれしい時 バド・五輪銀メダリスト 垣岩令佳さん

 彦根城彦根市)に近く、城下町の風情が漂う夢京橋キャッスルロード。ロンドン五輪バドミントン女子ダブルスで銀メダルを獲得した垣岩令佳さん(31)が、トーチを手にゆっくりと進んだ。

 飲食店や土産店が並ぶ通りには、スマートフォンやカメラを手に観客が集まった。垣岩さんは笑顔で手を振って声援に応じた。

 大津市出身。日本バドミントン史上、初のメダリストになった。「ジュニア時代のコーチや知り合いも沿道に来てくれた。思った以上にたくさんの方がいらっしゃって、一瞬だったけどうれしい時間でした」と振り返った。

 東京五輪バドミントン競技に出場する日本の選手たちへの思いも語った。「どの種目でも金メダルを目指せる位置にいると思う。悔いなく楽しくやってほしい」

地元皆さんに感謝 モーグル元五輪選手 伊藤みきさん

 日野町では、フリースタイルスキー女子モーグルの元五輪選手、伊藤みきさん(33)が聖火をつないだ。町出身で、沿道からは「みきちゃん、こっち向いて」「頑張って」といった声援がとんだ。

 走り終えた伊藤さんは「地元の皆さんがすごくあたたかくて、ホーム感がたっぷりでした。苦しいときも色んな方々に支えられたから頑張ることが出来たんだ、と振り返る機会になりました」と感謝した。

 聖火リレーへの参加は、町から「やってみませんか」と声をかけられたことがきっかけだったという。「私は冬の競技だったので、夏の大会の光栄な話をいただけて、すごくうれしかった」

 東京五輪に出場する選手たちには、「新しい形のオリンピックになると思うが、それも含めて楽しんで、一番いいパフォーマンスをしてほしい」とエールを送った。