息子が「死んでしまう」 懇願しても見つからぬ搬送先

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堀之内健史、小林太一
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 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が再延長される大阪府などでは、重症病床が依然として逼迫(ひっぱく)している。府内で搬送が遅れて体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))を一時装着することになった30代患者の母親が、取材に応じた。夫も重症化し、自身も感染して苦しんだ体験から、再延長に理解を示す。患者を受け入れた病院の医師は「市民一人ひとりの行動が大切」と呼びかけ、「ワクチンが行き渡るまで宣言継続を」と訴える。(堀之内健史、小林太一)

 「マスクを欠かさず、会食も自粛していたのですが……」

 堺市に住む60代の女性は、30代の長男についてそう振り返る。新型コロナの「第4波」が猛威を振るう4月13日、同居する息子の感染がわかった。息子の職場では直前に同僚が陽性になり、保健所から濃厚接触者にはあたらないと判断されたが、検査を受けると陽性だったという。

 息子は自宅療養をすることになった。これまで大きな病気をしたことがなかったが、容体が4日後に急変する。呼吸が難しい状態になり、救急車を呼んだ。だが、病床不足で搬送先が見つからなかった。

 19日早朝には症状がさらに悪化した。息子はうめくこともできず、おぼれているように苦しんだ。保健所に「死んでしまう」と電話で泣いて懇願したが、それでも搬送先は見つからない。最終的には、再び呼んだ救急車からの要請で、堺市堺区の耳原総合病院が受け入れることになった。

 同院によると、搬送された時点で重症に近い状態だったが、入院後に急激に呼吸状態が悪化。翌日には人工呼吸器を付けても呼吸が不安定で、エクモでの治療が必要になった。同院ではエクモを扱える体制が整っておらず、府を通じて重症病床への転院を試みたが調整がつかない。同院が日ごろから連携している別の病院に直接相談したところ、偶然、ベッドの準備ができるタイミングで受け入れられたという。

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