旧商業施設再開発めぐる訴訟、苫小牧市に賠償命じる判決

平岡春人 西川祥一
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 【北海道】2014年に閉鎖された旧商業施設「苫小牧駅前プラザエガオ」の再開発をめぐり、苫小牧市が土地を不法に占有しているとして、土地の一部を所有する市内の不動産会社「大東開発」が市を相手取り、賃料相当額などの支払いを求めた訴訟の控訴審判決が28日、札幌高裁であった。長谷川恭弘裁判長は市に583万円の支払いを命じた一審・札幌地裁室蘭支部の判決を支持し、市の控訴を棄却した。

 一審判決によると、大東開発はエガオが閉鎖される半年前の14年2月、土地の一部を取得した。再開発をめざす市は、土地と建物の無償譲渡を権利者に呼びかけ、17年までに大東開発を除くすべての権利者から寄付を受けた。

 控訴審判決は、大東開発には「市が行う再開発のために寄付をすべき法的な義務はない」と判断した。一審判決が支払いを命じた15年10月~19年11月の賃貸相当額583万円に加え、19年12月~20年6月の82万円を支払うように命じた。(平岡春人)

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 苫小牧市側の全面敗訴で、JR苫小牧駅前の再開発計画は長期化する見通しとなった。

 再開発問題の進展を最重要政策とする岩倉博文市長は判決後、「主張が認められず、非常に残念」との談話を出した。市幹部は最高裁への上告について、「難しいだろう」と漏らす。

 「苫小牧駅前プラザエガオ」は1977年開業(当時の名称はサンプラザ)。地上8階地下1階のビルにダイエー苫小牧店など60店が入っていたが、経営悪化で2014年に閉鎖された。市は駅前一帯の再開発をめざし、固定資産税の免除を条件に権利者29人のうち28人から寄付を受けたが、16%の土地を所有する大東開発は応じなかった。

 市の計画では、市がすべての土地・建物の権利を得たうえで、再開発計画を民間業者に募る。最も優れた計画を提案した業者に、数億円は下らないといわれるビルの解体を条件に無償譲渡する。跡地には、公共施設や店舗、オフィス、住宅が入る複合施設を建設するとしている。

 しかし、市が賃料相当額の約665万円を支払ったとしても、大東開発の土地所有権は残ったままだ。今後、大東開発側と交渉することになるが、大東開発からだけ土地を買い取ったり、大東開発の所有権が残ったまま開発を進めたりすることは、旧権利者から理解を得られそうにない。

 市まちづくり推進課は「すぐ解決する妙案は浮かばない」と話す。(西川祥一)