大坂なおみの会見拒否が話題 全仏でナダル、錦織ら反応
テニスの4大大会、全仏オープン選手権(30日開幕・パリ)で、女子の大坂なおみ(日清食品)の行動が話題を呼んでいる。男女のシード選手や注目選手が記者会見した28日、多くのやりとりで大坂の名前が飛び交った。
大坂は27日に大会中は記者会見に応じない意向を示した。自身のツイッターで「アスリートの心の健康状態が無視されていると感じていた。自分を疑うような人の前には出たくない」などとコメントした。
4大大会のルールブックによると、記者会見は大会で義務づけられた行事の一つになっている。拒否した場合は1回につき最大2万ドル(約220万円)の罰金が科せられる可能性がある。
会見は試合が終わってから一定の時間で開かれることが多い。感情が冷めないうちの率直な声が感動を与えている。ただ敗退後など状況によっては気持ちを切り替えるのが難しく、悩む選手も少なくない。
昨季の覇者で最多13度の全仏優勝記録を持つラファエル・ナダル(スペイン)は、大坂に対する意見を求められると「彼女を尊重する」と切り出した。
その上で「我々スポーツ人は、質問に答えられるよう受け止める準備をしなくてはならない」とも話す。
慎重に、こうも続けた。
「彼女の思いは理解する。一方で我々が世界で成し遂げたことやニュースを発信してくれる人がいなければ、選手たちは今のような存在でいないと思う。世界での認知度もそこまでないだろうし、人気もそうだ」
親交が深い錦織圭(日清食品)も一定の理解を示した。「真意がどこにあるのかが分からないので何とも言いづらい」としつつ、「嫌なことを聞かれる場合もあるし、なおみちゃんの場合はそういう活動もしている。立ち位置的に、僕よりも色々なことを聞かれることは断然多いと思う」と丁寧に話した。
また、「彼女が本当に病んでいたりしたら……。罰金を払ってでもと彼女が判断したら、尊重すべきこと」とフォローもしている。
その後、自身に置き換えて語った。「(記者会見は)大会のプロモーションの一環として選手がやらなければいけない一つのことかなとは思う。賞金をもらって、色々な人が大会をつくってくれて、関わってくれていることを考えると、しなくてはいけないことかな」
女子テニスの世界ランキング1位で、今大会優勝候補のアシュリー・バーティ(豪)は大坂の気持ちや経緯が分からないため直接コメントするのは避けた。ただ、「会見は仕事の一部。プロテニス選手になった時からそれは分かっている。できるだけ重くしないようにして、少しでも楽しもうとしている」と話す。
19歳で昨年の大会を制したイガ・シュビオンテク(ポーランド)も「負けた直後は最も楽しめることではない。我々は時には全員から見られているような立場にもある。つらく感じるかもしれないけど、仕事の一部」と話していた。(ロンドン=遠田寛生)