聖火リレー、思い複雑 来月4、5日に新潟へ

緑川夏生、小川聡仁、友永翔大 西村奈緒美
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 東京オリンピック開幕まで50日あまり。全国を巡る聖火リレーが6月4、5の両日、新潟県内にやって来る。大会に向けた機運醸成が狙いだが、新型コロナウイルス対策を続ける中での開催に、県民はどんな思いでいるのか。街頭で聞いた。

 聖火リレーや五輪にどんな思いを抱いていますか――。新潟駅周辺で記者3人が道行く人々に尋ねた。

 新潟市東区の会社員、福士かおりさん(36)は「日本経済の回復につながるなら、感染対策をしてやるべきだ」と話す。新型コロナ禍でたまったストレスを、「選手の応援という形で発散したい」との思いも。自身も披露の場があるかどうか分からない中でピアノの練習を続けているといい、五輪に向けて鍛錬する選手に気持ちを寄せた。「(開催は)選手たちへのねぎらいにもなる」と話した。

 買い物帰りだった長岡市介護職員、高野飛佳(あすか)さん(24)は「感染への不安と、選手の活躍を見たい気持ちで複雑です」。感染対策に日々気を使って外出は買い物など最低限にとどめてきたといい、聖火リレーは沿道が密になる恐れがあるから見に行かない。五輪開催についても「(外国由来の)変異株がはやっているので、海外の選手たちが来日するのは怖い」と不安を口にした。

 ただ、勤務先の高齢者施設の利用者はスポーツ観戦好きが多い。「日本人選手の活躍で利用者が元気づけられる」との思いもあり、無観客開催を望んでいる。

 友人と遊びに来ていた大学生の高橋理恵さん(18)は「聖火リレーや五輪をする前に、早くコロナを落ち着かせてほしい」と五輪延期を望んだ。卒業旅行、首都圏でのライブ、大学のスポーツ大会など楽しみにしていた予定やイベントが中止になった。大学の授業は対面だが、学生同士の交流は制限され、やりたいことを我慢する日々が続く。東京や大阪などを対象にした緊急事態宣言の来月20日までの延長が決まったばかり。「(五輪は)今年じゃなきゃいけないのか」と語気を強めた。新潟市の男性(19)も「新潟は感染拡大防止の踏ん張りどころ。(聖火リレーは)今はやってほしくない」と不安そうだった。

 「新潟に聖火が来るの?どこを通るの?」。新潟市中央区の女性(83)は、聖火リレーについて知らなかったようで、質問すると驚いた様子だった。五輪については「選手が来て競技するだけなら感染は広がらないのでは」。映画を見に来たという新潟市中央区の専門学校生(18)も「聖火リレーをやるんですね。知りませんでした」と驚いていたが、「オリンピックの伝統。やるのはいいと思う」と話していた。(緑川夏生、小川聡仁、友永翔大)

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 聖火リレーは3月に福島県からスタートし、新潟は都道府県別で34番目。県内14市町村の計34・4キロを177人のランナーが走る予定。各日の最終地となる南魚沼市村上市では聖火の到着を祝う式典があり、応募した500人がそれぞれ参加する。そのほかの自治体では、出発式や郷土芸能の披露がある。

 これまでにリレーを実施した30府県のうち、大阪府広島県は公道での走行を取りやめ、愛媛県山口県は一部の自治体で走行を見送った。その判断基準について、新潟県スポーツ課の担当者は「緊急事態宣言や県独自の自粛要請が出れば公道での走行は行わないルールが確立しつつある」と話す。その場合、聖火の到着式典だけ南魚沼市村上市で無観客で催すという。

 8月に行われる長岡での花火大会や新潟まつりが中止になっており、県には「聖火リレーも中止に」との電話がかかってくるという。県は沿道の密集を避けるため、自宅などでインターネットのライブ中継(https://nhk.jp/torch別ウインドウで開きます)での観覧を呼びかけている。(西村奈緒美)