中国でゾウの群れが謎の北進 環境の変化?道迷い?

瀋陽=平井良和
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 中国南部の雲南省で、アジアゾウの群れが生息地の北限を越えるような謎の北進を続けている。5月下旬にはこれまでゾウが現れたことがない街に入り込み、住民が避難する騒ぎも起きた。警察などがえさで誘導するなどして迂回(うかい)を促しつつ、経過を見守っている。

 中国メディアによると、同省シーサンパンナ・タイ族自治州ミャンマー国境近くの自然保護区にいた15頭ほどの群れが2020年春、突然北進を始めた。同年末には約400キロ離れた墨江ハニ族自治県に入り、北回帰線を越えた。同県に入るのは中国でゾウの生態観測が始まってから初めてで、現代の生息地域の北限を越えた可能性がある。付近でしばらく過ごしていたが、今年4月に再び北へ向けて歩き出し、5月下旬までに約100キロ進み、省都・昆明まで100キロほどに迫っている。

 人里近くの畑が踏み荒らされたり、トウモロコシが食べられたりする被害が出ている。被害額は最近の40日間で680万元(約1億2千万円)に上るとされ、地元政府が加入する野生動物被害の保険で賄われることになるという。人が近づけば興奮して人的被害につながる可能性があるため、地元の消防隊などは街や集落の入り口に車などの障害物を置くなどして、人のいない方向への誘導を続けている。

 アジアゾウの主な生息地はインドや東南アジアで、中国南部が北限とされる。中国政府の国家林業・草原局によると、中国では絶滅危惧種とされて約300頭が生息するが、これまでは北回帰線の南の地域で活動していた。

 異例の移動の原因については明らかになっておらず、中国メディアは専門家たちの「環境の変化で保護区の餌が少なくなり、引っ越し先を探しているのではないか」「群れのリーダーが経験不足で道に迷ったのかもしれない」などとの見方を伝えている。(瀋陽=平井良和)