祖父の教えでつかんだ背番号1 大阪桐蔭3人目のエース

山口裕起
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 (29日、春季近畿地区高校野球大会準決勝 大阪桐蔭3―2智弁和歌山)

 大阪桐蔭の背番号1の誇りを胸に、右腕竹中勇登(3年)はマウンドで躍動した。

 準決勝の智弁和歌山戦。今大会初先発の竹中は直球とスライダーを低めに集めて9回2失点と粘った。

 同点で迎えたその裏の攻撃では先頭で打席に。内野安打で出塁し、1死一、二塁から池田陵真(3年)の適時二塁打でサヨナラ勝ちの本塁を踏んだ。

 自身初の完投勝利。「最後まで自分が投げるんだ、と強い気持ちで腕を振った。勝った瞬間は素直にうれしかった」

 チームには、ともにプロ注目の松浦慶斗(3年)、関戸康介(3年)の左右二枚看板がいる。背番号1は今春の選抜は左腕松浦がつけ、春の大阪府大会では右腕関戸がつけた。

 竹中は、この2人の陰に隠れる存在だった。選抜の背番号は11。1回戦の智弁学園(奈良)戦に3番手で登板したが、打者2人に投げただけでチームは敗れた。

 「悔しかった。成長して勝てる投手になりたい」。そんな思いが、練習での姿勢を変えた。松浦や関戸と並んで投げるブルペンでは、「意識して、2人をちらちら見ています」。捕手のミットに、より甲高い快音を響かせようとひそかに勝負することも。

 松浦は185センチの長身から多彩な変化球を操り、関戸は150キロ超の直球を誇る。竹中も最速は145キロだが、自信を持つのはコントロールだ。「誰にも負けない」と言い切る。

 岡山県出身。小学4年で投手を始めた時から、制球力を磨いてきた。

 捕手役を務めて、練習につき合ってくれた祖父から口を酸っぱくして言われたのは、「外角低めに投げなさい」。10球連続で祖父が構えた外角低めに投げないと、練習が終わらない日もあったという。

 選抜後の春の大阪府大会には背番号10で臨み、結果を出した。近畿大会開幕の4日前にあったメンバー発表で、61人の部員全員の前で背番号「1」を告げられた。

 「うれしかったけど、同時に桐蔭の1番という責任も感じた」

 この日の被安打は4。5四死球を与えたが、崩れなかった。ピンチの場面で根気よく外角低めに球を集め、2併殺を奪うなど打たせて取った。

 「きょうも丁寧に投げていた。安定感は竹中が一番」。西谷浩一監督はそうたたえた。

 公式戦初登板は1年秋で、松浦や関戸よりも先だった。竹中は言う。「2人がすごすぎて目立たないけど、自分にも意地がある」

 近畿大会が終われば、最後の夏を残すのみ。つかみ取った「エースナンバー」を譲るつもりはない。(山口裕起)