タケヤリ広告に賛否の反響 漂う「コロナ敗戦」の空気感

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専門記者・木村裕明
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経世彩民 木村裕明の目

 「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される」

 刺激的なコピーが印象的な両面見開きの全面カラー広告が朝日新聞など全国紙3紙の5月11日付朝刊に載った。出版社の宝島社が出した広告だ。目を奪われた方も多いだろう。

 宝島社は1998年から、社会に伝えたいメッセージを企業広告として随時発信してきた。度重なる自粛要請を強いられるばかりの事態に警鐘を鳴らす必要性を感じて、新型コロナウイルスをテーマに取り上げたという。

 「今の日本の状況は、太平洋戦争末期、幼い女子まで竹槍(やり)訓練を強いられた、非科学的な戦術に重なり合うと感じる人も多いのではないか。コロナに対抗するには科学の力、ワクチンや治療薬が必要だ」。宝島社はそんなメッセージを広告に込めたとプレスリリースで説明している。

 日本のコロナ対策を「非科学的」と決めつけるのが正しいこととは思わないが、宝島社には賛否両論含めて、これまでに手がけた企業広告の中で最多の反響が寄せられた。国内外の550以上のウェブ媒体が取り上げ、SNSで拡散。内外のメディアからの問い合わせも相次いだという。コロナ禍が始まって1年を過ぎても、トンネルの出口は見えないまま。多くの国民が抱えるモヤモヤ感や政治への失望を広告が代弁したということだろう。

 昨年5月5日。初めての緊急…

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