コロナ禍の選挙、現金支給公約で当選 ばらまきと批判も

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多知川節子、関謙次
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 新型コロナウイルス対策として、現金や商品券の一律支給を公約に掲げた候補者が地方選挙で当選するケースが相次いでいる。地域経済への波及効果は不透明で、「ばらまき」との批判も上がっている。(多知川節子、関謙次)

 美しい石垣で知られる丸亀城をシンボルとする香川県第二の都市・丸亀市が「10万円」に揺れている。

 「全市民に10万円支給」。4月18日に投開票された丸亀市長選で、こんな公約を掲げた元市議長の新顔松永恭二氏(61)=自公推薦=が、現職の梶正治氏(68)に競り勝った。「カラ公約だと批判も浴びたが、財源は一切心配しておりません」。松永氏は当選後も自信たっぷりだった。

 10万円を打ち出したのは告示の約2週間前。社民党県議出身の現職が、公共工事の地元優先発注などで保守層にも支持を広げており、反転攻勢に出た形だ。

 市内では「5人家族なら50万円」などと話題が飛び交った。ただ、現職の陣営幹部は「今さらこんな奇策を持ち出すとは。私たちは丸亀市民の民度と品位を信じる」として、選挙戦では最後まで「10万円」への対抗策は出さなかった。

 現職陣営の念頭には、昨年の愛知県岡崎市長選があった。「1人5万円還元」と掲げて初当選した市長が、議会の反対で実現できず、解職請求リコール)の動きが起こっていた。

 しかし、結果は現職の惜敗。わずか917票差だった。

「合法的買収」、批判相次ぐ

 「あれは合法的買収でしょう」「こんな選挙がまかり通ったら真面目にやってきた首長はたまらない」。県内の複数の市長からも批判や嘆きが止まらない。

 人口約11万人の丸亀で公約を実現するには、年間の市税収入の8割に当たる約110億円が必要になる。

 松永氏が財源として頼ったのが、公営ギャンブル競艇「丸亀ボート」の収益だ。大半は施設改修などに使途が決まっているが、現金預金は245億円(昨年度決算見込み)ある。競艇ファンを公言する松永市長はこれを繰り入れ、「ビッグレースを誘致して穴埋めする」と明言。夏までの支給をめざすとした。

1人10万円のはずが…

 しかし、5月25日、6月議会に向けて発表した補正予算案では、支給額が「5万円」に半減していた。

 「予想外の事態に備え、財政…

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