過疎の町、公務員採用が利権に? 口利き「以前から」

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加治隼人
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 福岡県みやこ町の職員採用試験をめぐって町議らが逮捕された贈収賄事件は、公務員採用試験の公正性を大きく揺るがせた。ただ、役場への就職での口利きは「以前からある」と言う住民もいる。勤め先が少ない過疎地で、公務員採用が一種の「利権」となっていたとの指摘もある。

 福岡県警によると、町議の上田重光容疑者(72)=あっせん収賄容疑などで逮捕=は2019年11月、町の採用試験を息子が受験した原口国文(67)、幸恵(61)両容疑者=贈賄容疑で逮捕=に便宜を図るため、最終面接を担当した副町長の三隅忠容疑者(62)=地方公務員法違反容疑で書類送検、現在は辞職=に働きかけて面接での質問内容を漏洩(ろうえい)させ、見返りに国文、幸恵両容疑者と、土木建設会社長福森猛容疑者(73)=贈賄容疑で逮捕=の3人から現金数百万円を受け取った疑いがある。

 捜査関係者によると、5人とも容疑を認めているという。

 発端は、町内に住む国文、幸恵両容疑者が、地域の区長なども務めた福森容疑者に相談したことだった。福森容疑者は上田容疑者の長年の支持者。捜査関係者によると、最終面接の約1週間前、国文容疑者と福森容疑者は上田容疑者宅を訪ね、現金200万円が入った菓子折りの袋を渡して「お力添えをお願いします」と依頼した。

 上田容疑者はその後、面接を担当する三隅容疑者から想定質問を聞き出して3人に伝え、面接ではその質問がやりとりされたとみられる。息子は合格した。

わいろ200万円、背景に「親心」か

 しかし、なぜ採用の便宜依頼に、200万円もの大金が動いたのか。

 みやこ町は福岡県北東部に位置し、人口約1万9千人。基幹産業は農業で、高齢化率は約41%(21年4月)と県内で5番目だ。人口減少も進む。

 事件があった19年は、町が「人物重視」を掲げて採用の選考方法を大きく見直した最初の年だった。筆記試験の比重を下げ、個人面接のほか新たに集団面接を導入。周辺自治体の試験日と重ならないよう日程調整し、年齢の上限も28歳から30歳に引き上げた。

 この結果、受験者は近隣からも集まり、前年の13人から102人に急増。国文、幸恵両容疑者の息子は最終面接の11人に残っていたが、受験できる最後の年齢だった。

 両容疑者は「息子を合格させたくて現金を渡した」と話しているといい、捜査関係者は「最終試験までたどり着き、どうしても合格させたい親心が働いた」とみる。

 元みやこ町議の一人は、こうした口利きは今回だけでなく、よくうわさされていたと話す。農業地帯で長年住み続けている住民が多く、地縁が強い土地柄。

 「何かと役場頼みの風潮があり、その役場に顔が利く議員が大きな力を持つ。『採用利権』もその一つ。口利きで恩を売れば、票にもつながる」

「口利き相場」のうわさも

 みやこ町のある男性は、長男…

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